2006年03月30日

『七つの黒い夢』乙一ほか

[ Book]

『スラムオンライン』の記事を書く際に桜坂洋の新刊を検索したらヒットした短編集なのだが,執筆者がすごい.
乙一を筆頭に,恩田陸,北村薫,岩井志麻子とメジャーどころが揃っている.
読んだことはないのだが,西澤保彦もシリーズものを持っていて,結構興味がある作家の一人.

図書館に収められるのはまだ先だろうし,文庫で安い(この作者で400円は特価!)ということもあったので,買って読んでみた.

タイトルが「黒い夢」だし,新潮社による紹介文も,

ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。静かな恐怖を湛えたオリジナル文庫。

とあるので,怖い話ばっかりなんだろうと思っていたのだが,これがあんまり怖くない.
冒頭の乙一の短編は,匂いの出てくる絵を描く子供の話なので,とんでもないものの匂いがするんだろうと思っていたのだが,全然そんなことはなかったし,桜坂洋の短編も日常の謎系のほのぼのした話.
他の話も全体的に怖くないので(後味が悪いものはあるが),怖いものが苦手な人でも大丈夫だろう.

「怖さ」とか「ダーク」という共通点を全作品がもっているわけではないので,何故こういうラインナップになったのが不思議ではある.
初出は恩田陸の作品を除いて小説新潮で共通しているのだが,発表時期はかなりバラバラ.巻末の広告からすると,「七つの」で始まる短編集が他にも2つあるようなので,小説新潮で発表された短編のうち,その2つの短編集に収まらないものをムリヤリ集めたのだろうか? だったら恩田陸の短編はどうして収められてるんだろう?


・おまけ
執筆者の中で,誉田哲也という作家だけ聞いたことがなかったのだが,検索してみたところ,『アクセス』という作品が面白そうだ.怖いのは苦手なのだが今度読んでみよう.