2005年02月28日

塩漬け肉づくり

[ Experience]

前回の記事でも書いたが,ソースの賞味期限を調べたときに耐乏PressJapanに辿り着いたわけだが,その際に他のページも見てみた.
色々と面白いことが書かれていたのだが,個人的に非常に興味を引かれたのが,特集:大切なお肉の長期保存という記事.
肉を塩漬けにすることによって長期保存しましょうという記事なのだが,すぐ近所にスーパーがあり,自宅に冷蔵庫がある生活を送っている以上,別に塩漬けにしてまで肉を保存しなくてはいけない理由はない.
しかし,他の記事を読んでみると,肉を塩漬けにすることで熟成が起こり,独特の旨みが出るそうで,その結果として1ヵ月後には「生で食べられる」(=生ハムになる)という.

自宅で生ハム...

なかなか面白そうだし,やってみるか.

ということで,2月の頭に近所のスーパーで豚肉のブロック肉が安いときを狙って500グラムほど購入(ちなみに100グラム100円弱).
塩については,こちらに引っ越してきた際に購入したJTの安物の塩が大量に余っているのだが,できるだけ自然塩を使おうと書かれていたので,豚肉と共に購入することに.
伯方の塩と悩んだ結果,味の素の「瀬戸のほんじお」を買ってみた.

siobuta_1.jpg

さて,いよいよクッキング開始.
といっても豚肉に塩を擦り込むだけなのだが,早くも問題発生.
豚肉の5-10%の塩を使うべしとあるのだが,塩を量るためのクッキングスケールがない.
体重計で量ることも考えてみたのだが,うちの体重計は500グラムの10%=50グラムが量れるほどの精度はありそうにない.
仕方ないので目分量でGo.うーん,我ながら大雑把だな.

豚肉に塩を擦り込んだ後,もともと豚肉が入っていた発泡スチロールのトレイに戻し,それをラップで包む.念のため,ラップで包んだトレイごとジップロックに入れておく.

siobuta_2.jpg

これを冷蔵庫で保管し,ときどき水を捨てながら1週間くらい待つわけか.

で,翌日.中身を確認してみると,確かに水分が染み出ている.しかし参考にしたページに載っていた写真に比べると,えらく量が少ない.うーん,目分量だったから塩の量が少なかったのかな?

さらに翌日.またもや水分が染み出ているのだが,どう見ても前日よりも量が少ない.やっぱり塩が少なかったか...
ということで,もう一度塩の擦り込みを行うことに.今度はかなり擦り込んだので大丈夫だろう,というか逆に多すぎたかも...

で,またもや翌日.恐る恐る中身を確認すると,初日に比べてもかなり大量に水分が出てきていた.やっぱり最初の塩の擦り込みは量が少なかったのだろう.
水分の滲出は2日ほど続いたが,その後はほとんど出てこなくなった.

で,これが第一次塩漬けから9日(第二次塩漬けから1週間)経過した豚肉.

siobuta_3.jpg

日にちが経った豚肉に特有の腐敗臭はしないので,腐ってはいないのだろうけど,なんか色が不穏になりつつあるような...

しかし,ここまで来た以上,後戻りは許されない.次なる「熟成」のための作業を行うことに.
といっても,ラップで空気が入らないように包んで冷蔵庫に置いておくだけ.
できるだけ空気が入らないように包んだつもりだったが,基本的に大雑把な人間なので,そういう細かい作業には向いていない.どう見ても空気が入ってしまっている.
包み直すのも面倒だったので,ジップロックの中に入れた上,そこにストローを突っ込んで空気を吸い出してみた(はなまるマーケットでやっていたテクニック).ラップの中に空気が入ってしまっている以上,気休め程度にしかならないだろうが,なにもしないよりはいいだろう.

それから9日経過.「塩漬けにして2週間もすれば食べられる」とあったので,ちょっと味見してみることに.
ジップロックから取り出し,ラップを外してみたところ,微妙に脂っぽい匂いはするが,腐敗臭はしていない.購入してから20日くらい経っているのだから,とりあえず塩漬けによる防腐効果は作用しているようだ.
しかし,肉の表面の色の不穏さはさらに進行していた.大丈夫なのか?と思いつつ,ちょっとスライスしてみた.

siobuta_4.jpg

あら,中はそれほど不穏な色になってないぞ.これなら大丈夫かな.

とはいえ,これは20日放置された豚の生肉なのだ.

食べるのにはちょっと勇気がいるな...
覚悟を決めてスライスしたものを食べてみる.
うっ,塩辛い.でも,なんか不思議な食感になってるぞ.ねっとりしているというかなんというか.生ハムってそれほど食べたことがないけど,こんな食感だったっけ...
とりあえず,現時点までは食べられるものに仕上がっていることを確認できた.もう少し放置しておこう.



さて,製造開始から約4週間経過.1ヶ月にはまだ少々足りていないが,そろそろ本格的に食べてみることにしよう.
削ぎ切りにした肉でアスパラガスを巻いて食べるのが旨いらしいので,アスパラガスを購入.
ついでにモッアレラチーズが半額だったのでそれも購入.
生ハム(もどき?)にチーズとくればワインが必要だろう,ということで,スーパーで安物の赤ワイン(328円也)も購入.

表面の不穏さは以前と変わっていないが,スライスしてみたらこんな感じになった.

siobuta_5.jpg

端の方に不穏な色の片鱗を垣間見ることができるが、中心部はきれいな色である.
写真では分かりにくいが,普通に食べる生ハムよりはかなり厚切りになってしまった.むぅ,もっと腕を磨かねば.

他のつまみも全部一つの皿に載せて記念撮影.

siobuta_6.jpg

うーん,なかなか立派.
では早速,味見をしてみよう.アスパラを生ハム(もどき)で巻いて...
おおっ,アスパラの甘さと生ハム(もどき)の塩加減が相まって,なかなか良い感じじゃないか!
しかし,生ハム(もどき)単体だとやっぱり塩辛いなあ.それに,面白い食感にはなっているけど,熟成したものに特有の旨みというのが,それほど感じられない.塩辛さに隠れてしまっているのだろうか.やっぱり塩抜きしないとダメなのかなあ.

そもそも,これが本当に生ハムの味なのかどうかについても疑問が残る.本来の生ハムはこの状態から塩抜きした上で乾燥(熟成)させるらしいのだが...
この疑問に対する答えを得るために一番手っ取り早いのは,誰か生ハムの味を知っている人に食べてもらって感想を尋ねることだ.しかし,一つ問題がある.

他の人に食べさせて大丈夫なのか?

1ヵ月近く放置された豚の生肉を...

とりあえず,私の身体に異常がないようだったら,状況を説明して同意を得た上で(インフォームド・コンセントというやつだ),周囲の人に食べさせてみることにしよう.