2006年03月24日

ダリの宇宙とシュルレアリスムの巨匠展@愛媛県美術館

[ Experience]

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2月から3月にかけて,仕事やら何やらが色々と重なっており,バタバタしていた.
実のところ,バタバタしているのは現在進行形なのだが,気がつくと愛媛県美術館で2/10から開催している『ダリの宇宙とシュルレアリスムの巨匠展』がそろそろ終わりそうなので,ムリヤリ時間を捻出して行ってきた.

私の中ではダリのイメージというのは,柔らかい時計ばっかり書いている,面白いヒゲを生やした大泉滉みたいな人,程度で,それほど好きではなかった.
しかし今回の企画展を見て,かなり印象が変わった.
確かに,柔らかい時計とか頭にフランスパンっぽい物を載せた人とか,同じような題材は多用しているけど,それだけの画家ではなかった.
油絵以外にも版画や線画,オブジェなども展示されており,物によっては私のイメージするところのダリと全く結びつかないようなものもあった.線画のいくつかは見ていてなぜか永野護を思い出し(構図の取り方のせい?),『ドン・キホーテ』の連作なんかは茂本ヒデキチみたいだった.
また,解説を読んでみると,古典的な技法を熱心に学ぶと同時に量子力学などの最新の科学についても興味を持っていたらしい.

今回の企画展,ダリ展ではあるのだが,ダリの作品自体は半分も無く,残りはシュルレアリスムの作家の作品が展示されている.
しかし,ここで混乱.それまでのダリの作品と,そのあとの展示作品が同じカテゴリーに属する作品だとは思いにくいのだ.
解説を読んで知ったのだが,ダリがよく使っていた手法(?)は一つの絵に複数のイメージを組み合わせることで(例:馬と裸の女とライオンを混ぜ合わせる),見る人によって見出すイメージが違うというものらしい.一種の騙し絵みたいなものか.
で,そのあとの作家の解説を読むと,何を書くとも決めずにイメージの赴くままに描くオートマティスムとか,木の表面の写し取ったフロッタージュなどの技法を使うともあり,そういうので出来上がったのが,先ほどまで見ていたダリの作品とはかなりイメージが違っているのだ.
マグリットがよく使うデペイズマン(異質なものを組み合わせて訳がわからないイメージを作り出す手法)とダリの作品は同じカテゴリーだといわれればそうなんだが...

ということで,ダリのイメージがかなり良くなったと同時に,シュルレアリスムがますますよく分からなくなったのであった.


・おまけ その1
個人的にはマグリットの絵が好きなのだが,今回の展示では『白紙委任状』しか好きな絵がなかった.
私の中ではマグリットといえば青空なので,どうせなら『大家族』とか『ピレネーの城』とか『光の帝国』の実物を見たかったなあ.

・おまけ その2
見に行った際,たまたまエントランスホールでライブをやっていた.
以前からやっていたのかどうか知らないが,なかなか面白いイベントだと思う.

・おまけ その3
ダリ展が終わったらなくなってしまうだろうからリンクはしないけど,紹介ページのタイトルが「dali」ではなく「dari」なのは専門家としていかがなものかと...