2005年03月10日

自由軒(カレー)

[ Spot]

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以前記事にした大阪名物インディアンカレーだが,大阪名物のインディアンカレーは実はもう一つ存在する.それが「自由軒のインディアンカレー」だ.

以前食べたインディアンカレーは1947年(=昭和22年?)開業らしいが,自由軒は明治43年創業.歴史の長さからすれば自由軒に軍配が上がるだろう.
この自由軒のインディアンカレー,織田作之助の『夫婦善哉』の中にも登場しており,知名度も非常に高い.
しかし,どちらかというと「インディアンカレー」ではなく「自由軒のカレーライス」または「混ぜカレー」という名前のほうがとおりがいいので,「大阪 インディアンカレー」でgoogleすると,自由軒じゃない方のインディアンカレー(ややこしいな)が上位にヒットする.

このインディアンカレー問題をさらにややこしくしている要素がもう一つあるのだが,それは後まわしにして,とりあえず店に入ってみる.

店内は昔ながらの食堂,というか洋食屋さんという感じ(写真はない).ハッキリ言ってかなり古ぼけた店なのだが,そのくたびれ加減とあちこちにある装飾品が長い歴史を感じさせる.

あと,なぜかホールにいる店員さんがみんなおばちゃんだ(笑).
特にレジにいた「ボスおばちゃん」は一見の価値がある.ホームページのメニュー紹介に写真が載っているが,実物(の髪型)はもっとすごかった.

で,この店ではいわゆるカレーは「別カレー」であり,自由軒伝統のカレーは「名物カレー」という名前になっている.この名物カレー以外に「ハイシライス」(=ハヤシライス)も有名なのだが,それ以外にも昔ながらの洋食屋さんのメニューが結構そろっている.
とはいえ,自由軒に来たからには,まずはカレーを食べないとはじまらないだろう.ということでカレーを注文すると,店員さんが「インディアン,一丁!」と厨房に声をかける.やっぱり「インディアンカレー」なんだなあ.

自由軒じゃない方のインディアンカレーだとすかさずカレーが出てくるところだが,こちらではそれなりに待たされた.
で,出てきたのがコレ.

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おおっ,確かにご飯とカレーが最初から混ぜられている.その中心に生卵が乗っかっているんだが... ご飯の量に比べて卵が多すぎないか? 特に白身がかなりたくさんあるぞ.
本式の食べ方は,この卵の上にウスターソースをかけて,卵とカレーをかき混ぜてから食べるらしい.
しかし,まずはカレーだけの味を試してみるために一口.
うん,普通のカレーだ.ちょっとスパイシーかな.
では,次に卵をかき混ぜてみよう... うっ,やっぱり白身の量が多いぞ.これはかなり混ぜないとバランスが取れないなあ.せっせとかき混ぜてから食べてみる.
卵の分だけまろやかになっているんだけど,個人的にはちょっと味が足りないかな.
では,ちょっと順序がずれたけどウスターソースをかけて...
うーん,もうちょっと入れたほうがいいかな...
うん,こんなもんだろう.



しまった,このカレー,辛さが蓄積型だ.これだと,ちょっとウスターソースを入れすぎだなあ.うーん,これはバランスが難しいぞ.
ということで,味付けにちょっと失敗してしまったが,あの味と量(それほど多いわけではないが)で650円ならば,難波の繁華街のど真ん中というロケーション+話のタネになるという点+おばちゃん店員の華麗な連係プレーが見れる点を考慮すれば合格点かな.
でも,クセになる味は自由軒じゃない方のインディアンカレーの方だろうな.

で,インディアンカレー問題をややこしくしているもう一つの要素なのだが,それは自由軒が2系統あるということだ.
今回行った難波の千日前店が本家筋であるらしいのだが,昭和45年にそこから「のれん分け」された自由軒がせんば自由軒
で,商売上手なのはこの「せんば自由軒」の方らしく,関東進出したり,レトルトカレーを作ったり,コンビニと組んでいろいろな商品を作ったりしている.味も微妙に違うらしく,せんば自由軒の方がちょっとスパイシーなのだとか.
で,本家の方はそのやり方などをちょっと苦々しく思っているらしい.両方のホームページを見比べてみると,ちょっと面白かったりする.