2006年02月13日

『輝く断片』シオドア・スタージョン

[ Book]

ネット上で高い評価を受けているので,松山市立中央図書館で借りてくるといういつものパターンなのだが,この作者の作品を読むのは初めて.
SF作家として認識していたのだが,実はミステリ作家としても評価されているのだという(そもそもデビュー作はミステリだったそうだ).
本作もSFではなく,ミステリ中心(あとがきによれば「広義の犯罪小説」中心)の短編集で,2006年版『このミステリーがすごい!』 では第4位にランクインしている.

読み終わっての感想なのだが,あとがきにこうある.

あまりにも独特の発想と、驚くべき語り口。かつて、こんなにも切ない犯罪小説があっただろうか。

「独特の発想」,確かに独特だ.「ニュースの時間です」の展開なんて,普通の人は絶対に予想できないだろう.

「驚くべき語り口」,文体のことなんだろうけど,翻訳されているので本来の味わいとは違っているかもしれないが(「マエストロを殺せ」は翻訳が大変だったろうな),独特な文体.かなり好き嫌いが分かれるだろう.

「こんなにも切ない犯罪小説があっただろうか」... えーっと,切ないですか?

確かに表題作の「輝く断片」はそうだろうし,「ニュースの時間です」もそうかもしれない.
でも,同じく犯罪小説に属するだろう「ルウェリンの犯罪」は個人的には大笑いしてしまった.
もう一つの犯罪小説である「マエストロを殺せ」もラストさえなければ切なさを感じたのかもしれないが,あのラストのために切なさが飛んでしまった(人によってはあのラストゆえに切なさを感じるかもしれないが).

とりあえず,もう一冊,今度はSF風味の作品を読んでみるとするか.