2007年02月24日

人体の不思議展@高知県立美術館

[ Experience]

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人体の不思議展を見に行ってきた.
私がまだ大阪の実家で生活していた頃,大阪で一度開催されたのだが,そのときは行くことができなかった.
それ以来,ずっと気になっていたのだが,このたび,四国初上陸ということで高知県立美術館で開催されるという.
高知まで行くというので悩みはしたものの,「この機会を逃せば後悔するに違いない!」ということで,片道3時間かけて行ってきた.

※注意! 冒頭の画像以外には画像はありませんが,人によっては気分を害するかもしれません.
また,リンク先にはグロテスクだと感じるかもしれない画像が含まれています.

人体の不思議展というのは,全国各地を巡回している催し物なのだが,名前のとおり人体を扱った展示会.
冒頭に挙げたリンク先を見てもらうと分かるが,筋肉や神経,骨,内臓がむき出しになった人体や,病気で変質した内臓や胎児などが,写真ではなく立体で展示してある.
これだけだと,理科室に置いてあった(かもしれない)人体模型のリアルなやつと代わりはないのだが,ここで展示してあるものは

すべて本物

つまり,

かつて人間だった物質

ストレートに言ってしまうと,

死体

なわけだ.
それそのものを展示すると腐敗してしまうので,ここで展示されているのは「プラストミック」という技術を使って,体内の水分を樹脂で置き換えてあるそうだ.
なので,ケース越しではあるが,そのものを直接見ることができる.

で,それらを遠目で見ると,超絶リアルな人体模型と同じなのだが,近くに寄って見てみると,プラスチックではありえない質感や切断面の処理の粗さなどによって通常の人体模型ではないというのがよく分かる.
ちなみにその質感だが,私は以前に作った塩漬け肉や洒落た店に置いてある生ハムの塊を思い出した.

それらを見ての第一印象だが,

ああ,人間って肉でできてるんだなあ.

というもの.
これまでに食べてきた食肉と同じような感じのものが人間の身体にもあるんだなあ,と.
「食肉=動物」であり,「人間=動物」である以上,当たり前のことではあるんだけど,普段考えないようなことなので,ちょっと新鮮だった.

次に思ったのは,

人間の身体って,こうなってるんだ

ということ.肩甲骨と肋骨ってつながってなかったのか.

その他,現在,腕の痺れや腰痛に悩まされていることもあって,そのあたりを重点的に見ていったのだが,見ながら「あの筋肉がこうなっていてるから...」などと身体を実際に動かしてみて筋肉の動きを手で触って確かめてみたりした.

そんな感じで見ていって,色々と発見があったり,考えさせられたりしたこともあったのだが,ある展示のところでふと思った.
その展示は全身の連続断面というやつで,身体を色々な方向からスライスされているやつ.『ザ・セル』という映画で馬の輪切りのシーンがあったが,あれの人間版だ.
ここで展示されている標本はすべて献体の同意をもらっているらしいのだが,そのときに同意した人って,こんな感じに輪切りにされることまで想定してたのかなあ...

ちなみに入場客もかなり多く,展示によってはケースに近寄りにくいこともあったくらい(街中の書店では入場券が売り切れていた).客層は女性7割に男性3割といったところか.
なぜか子連れで来ている人が目立ったのだが,ああいうのを見せて,子供が夜泣きしなりしないだろうか...
あと,どうも医療関係者が多かったらしく,「勉強になるわ」とか「これで採血が上手くなるかも」とかいう会話がもれ聞こえてきた.

脳の標本(本物?)を手で持ってみて重さを確かめたり(重さよりも感触が...),実際の標本を触ってみたりできるコーナーもあった.
最後には物販コーナーがあって,そこで販売されていた図録を買おうかと思ったのだが,夜中に目が覚めて,ふと本棚を見たときにこの図録があったりしたら,かなり怖い思いをしそうだったので止めておいた.

で,この記事を書くに当たって色々と調べてみたところ,賛否両論があるらしい.
また,献体の問題や標本化するための技術についても色々とあるらしく,本家からはニセモノ扱いされているようだ(こまかい話はこちらを参照).
こういうのを読んでしまうと,なかなか人には勧めにくいのだが,普段なかなか見れないものではあるので,時間と興味のある方はどうぞ.3月11日まで.