2004年07月29日

『ミルキーウェイ』『天使たちの進化論』清水玲子

[ Book]

ロボットのジャックとエレナが登場するSF作品集,という位置づけでいいのかな.
年月が過ぎても変わることができない,子孫を残すことができない,というロボットの性質のため,愛する人間たちと同じ時間を生きることのできない悲しみがテーマの一つなんだろうが,どうやら私はこの手のテーマを含めて「ロボットもの」というか「特定の目的のために作られた物の悲哀や葛藤」に弱いらしい.
乙一の『陽だまりの詩(シ)』(『ZOO』収録)もそうだし,遠藤淑子の『ヘヴン』もそうだな.パターンは違うけど,上遠野浩平の『パンドラ』(ブギーポップ・シリーズ)もそうか.うーん,挙げていくときりがないぞ.

ちなみに,この本は学生さんから借りたもので,清水玲子の作品を読むのはこれが初めてだったのだが,私の中では清水玲子は高校のときの担任と結びついてる.

私の通っていた高校は3年間クラス替えがなく,同じ教師が3年間担任をしていたのだが,この担任が自分で作ったプリントをほぼ毎日配っていた.
3年間毎日,しかも1日に5枚くらい配ることもあったので,最終的には1500枚近くのプリントが配られたと思う.

プリントの中身は文芸評論みたいなもので,その守備範囲もSFから古典文学までとかなり広かった.
今から思うと真面目に読んでおけばよかったのだが,あまりにも大量に配られたため,いつしか配られた瞬間に丸めてゴミ箱に直行させるようになっていた.

で,その中で数回にわたって清水玲子(おそらく『月の子』)がとりあげられていたことがあった.
単にとりあげられていただけならばそれほど記憶にも残らなかっただろうが,この担任というのが,ゴマ塩頭でかなり恰幅のいい,しかも定年退職間近の男性だったのである.
当時から少女漫画を読んでいた私は,清水玲子の絵柄を思い浮かべることができたので,その秀麗な絵柄と担任のギャップに苦笑を禁じえなかった覚えがある.
それ以来,清水玲子=高校のときの担任という連想ネットワークが脳内に形成されてしまったのだ.

今回の読書で,その連想ネットワークは少しは弱くなったと思うが,まだしばらくは清水玲子の名前を見るたびに高校のときの担任の顔を思い出してしまいそうだ.