2004年09月26日

邯鄲(ギャラリー&食事)

[ Spot]

ある方に「ランチの美味しい店を教えてください,ただし自転車で行ける範囲で」とお願いしたところ,いくつか店を教えていただいたのだが,そのうちの一つが「恩地町の邯鄲」.
はて,恩地町? それはいったいどこ?
ということで周囲の人に聞いてみたのだが,誰一人として場所が分からなかったので,地図で調べてみた.
ふーん,レインボーハイランドの近くなんだ...って,自転車で行ける範囲なのか?!
もしかして,これは挑戦状なのだろうか.ならば,受けて立たずにはおれまい.
ということで,都合と天候と体調のいい日を選んで挑戦してきた.

目的地までのルートとしてはいくつか考えられるのだが,ついでに以前からの課題であった「自転車で石手川ダムまで行く」もクリアしようということで,石手川ダム経由のルートを選択.ということで,第一目的地を石手川ダムに設定して出発.
途中,奥道後温泉を横目で見ながら(ここもいつか制覇せねば),黙々と自転車をこぐ.
以前行った白水台よりも坂の傾斜は急ではないものの,この時点で問題が発覚.
都合と天候と体調は良かったのだが,自転車のギアの調子が悪い.
ペダルをこぐ運動エネルギーの多くが振動と騒音と摩擦熱としてムダに消費されていく.

おかげで腰が痛くなってしまったが,それでも石手川ダムに到着.自宅から30分というところか.

ishite_dam.jpg

こうやって写真で見ると美しいのだが,湖面を実際に見てみると浄水場の偉大さを感じずにはいられない.

浄水場に感謝しつつ5分ほど休憩.地図で道を確認してから自転車を再度こぎ始める.
しばらくはダム湖の周囲を微妙なアップダウンを繰り返しながら進んでいく.
ここまで,交通量がそれなりにあったのだが,そのほとんどは今治方面から来ている/に向かっているらしく,今治方面との分岐を越えてからはほとんど車が通らなくなった.快適快適.
ちなみに通っているのはほとんど自動車であり(1台だけ原チャリ),自転車は全く見かけなかった.それはそうだわな.

基本的に一本道の上,途中途中に「ギャラリー邯鄲」への道案内看板があったので,道に迷うことはなかったのだが,五明方面との分岐を越えたあたりから怪しくなってきた.
道が常に微妙な上り坂なのはいいとして,周囲の光景はどう見ても農業集落以外の何者でもなく,この先にお洒落なギャラリーやカフェがあるような道だとは思えない.
しかし,時々思い出したように道案内看板は設置されている.ということは道は間違っていないはずだが...

途中,お洒落っぽいログハウスがあったのだが,看板も何も設置されていない.単なる民家と判断し,ひたすら道を登り続ける.その後,道案内看板が設置されていたので,先ほどの判断に自信を持ったりもしたのだが...

kantan_tochu.jpg

こういう道が目の前に広がると(狭がると?),さすがに自信を失ってしまう.
頼りの道案内看板も現れなくなってしまい,心細くなってきたところ,ログハウス&看板が!
やった,「華福」に到着したぞ! あれ,「華福」? 違うやん...

話は変わるが,先日の出稼ぎの際,コミットメントの非合理的エスカレーションの話をした.ひとたび行動を開始してしまうと,それまでの行動をムダにしてしまうような決断ができず,その行動を続けてしまうことだ.
自転車をこぎながら「今の状況って,まさにこれだよなあ」と思ってしまう.
こういう場合,「撤退すべきラインを事前に決めておく」ことが意思決定戦略的には有効なのだ...って既に事前じゃないし.
仕方ないので,もっと原始的な戦略を使うことにした.「通りすがりの人を捕まえて道を聞く」.シンプル イズ ベスト...って,誰も通らないし.

どうするべきか途方に暮れながらも自転車をこいでいると...久しぶりに道案内看板を発見!

kantan_kanban.jpg

あれ,矢印の方向からすると...この坂を下ったところにある民家っぽいのが邯鄲なのか?
玄関の前に橋みたいなのがあったりして,確かに普通の民家にしては構造が洒落てる.
洒落てはいるんだが,営業中の店が軒先に洗濯物を干すか? でも,器の入ったショーケースみたいなのも見えるし...
たっぷり5分以上悩んだ挙句,もう少し周囲を探索してみることに.
すると,道路からは見えにくい位置に別の建物を発見.どうやら,そちらが邯鄲らしい.
ということは,私は単なる民家の周囲を5分以上も物色していたわけか.傍からみたら不審者以外のなにものでもなかったろうな.

kantan_iriguchi.jpg

ということで,これが本物の入り口.
店中に入ると老紳士が出迎えてくれた.店の半分は器のギャラリーで(2階もあるらしい),もう半分が喫茶スペースだ.
喫茶スペースの方はこんな感じ.

kantan_naibu.jpg

食事メニューとしては,600-700円程度のパスタや雑炊もあったのだが,ここまで来た以上,「気まぐれランチ」を食べねばなるまい.しかし問題は値段だ.

1500円

えーっと,これっていわゆる時価ってやつですか?
しかし雑炊やパスタを選んだのでは,ここまで苦労してやって来た意味がない.内心ビクビクしながら気まぐれランチを注文.

料理が出てくるのを待っている間にも,有閑マダム..というよりは職業婦人っぽい方々が2組ご来店.やっぱりターゲットはこのあたりになるんだろうな.
少なくとも,坊主頭の野郎が一人で来る店でないことは確かだ.しかも携帯電話でカシャカシャ写真を撮ってるし.やっぱり怪しいよなあ...

などと自己分析している間に料理がやってきた.

kantan_lunch1.jpg

写真では分かりにくいが,右手前の椀にはコンソメスープが,メインは鮭のムニエル(茸とザーサイのソースがけ?).

kantan_lunch2.jpg

で,もう一品,肉料理がつく.見てのとおり,牛肉のたたき.
ちなみにご飯のおかわりは自由だそうだが,結構ボリュームがあったので,おかわりはしなかった.
どれも美味しかったが,特に鮭のムニエルが美味しかった.
残念ながらランチにはコーヒーがついていなかったので,コーヒーを追加注文.
十分堪能してから精算.消費税込みで2100円也.
問題の時価のランチは1500円プラス消費税だったようで,ほっと一安心.

で,総評なんだが,声を大にして言おう.

自転車で来る店ではない!

あ,当たり前ですか?
じゃあ,車で行けば問題ないかというと...これは目的次第だと思う.

「美味しいランチを食べる」ことだけが目的だとすれば,同程度の値段で同程度の美味しさの店は市内中心部にはごまんとあると思う.
それを考えると,市内中心部から車で20-30分はかかるであろうこの立地は不利以外のなにものでもない(ちなみに自転車では1時間強かかった).携帯電話も圏外だ.

じゃあ「近くまで行ったついでに」という条件付ならどうか.
あの辺りのことはよく分からないが,おそらく近くまで行く用事というのはほとんどないと思う.
一番可能性があるのが今治方面に用事があって,というパターンだと思うが,今治方面との分岐からでも結構な距離がある(少なくとも自転車で20分以上はかかる).

となると,どういう目的ならば満足できるのか.おそらく「あの雰囲気を楽しむ」ために行くというのが一番いいのだろう.
写真を見てもらえば分かるように店内はかなり良い雰囲気だし,器や小物に興味がある人ならばギャラリーも楽しめるだろう.
仲の良い友達同士または恋人同士でドライブがてら出かけていき,1時間くらいかけてご飯(またはコーヒー&ケーキ)を食べながら会話を楽しみ,ギャラリーを見て,気に入ったものがあれば買ったりしてから,街に戻る(全行程3時間コース?).
そういう楽しみ方ができるのならば,かなり満足度は高いのではないだろうか.きっと店側もそういうお客さんを想定しているに違いない.

帰り際,出迎えてくれた老紳士が「今度いらっしゃるときはもっとゆっくり楽しんでいってください」と笑顔で見送ってくれたのだが



すみません,まだまだ未熟なもので,そういうゆっくりした楽しみ方はしばらくできそうにないです.

ということで,行きが上りならば帰りは下り,偉大なるかな位置エネルギー,絶叫マシーン・シリーズ第二弾,絶叫マシーン@石手川ダムを十分に楽しみながら家路についたのであった.

ちなみに白水台に比べると傾斜は緩やかなのだが,道がグネグネ曲がっていることに加え,自動車という動く障害物があるため,こちらの方が面白いかもしれない.
いや,周囲の自動車の迷惑だからやめろよ>自分