2004年10月28日

『導きの星 全4巻』小川一水

[ Book]

宇宙に進出し,文明レベルの低い異星人と遭遇した地球人は,彼らの文明の発展を観察・支援する事業を開始する.その任務のため,銀河の最果てにやってきた主人公と三体のアンドロイドは,失敗を重ねながらも異星人を支援し,文明を発展させていくが...

ということで,シリーズの紹介によると「ハートフル文明育成SF」だそうだ.
「ハートフル」と銘打つにしては少々血腥い面もあるが,JAROに投書するほど事実と違ってはいないかな.

以前紹介した『第六大陸』の著者の作品で,やっぱりベースはSF.
だけど,ほとんど獣の状態から最終的には宇宙航行が可能なレベルまで文明を発展させるというストーリーの関係上,鋼鉄の鍛え方とか天動説・地動説,飛行機の原理などなど,さまざまな技術の説明が満載で結構勉強になる.

話が進むにつれてスケールが壮大になっていき,最後の方はかなり駆け足気味なのが不満ではあったが,面白かった.

でも,表紙のイラストといい,アンドロイドの性格付けといい(特に最初の方),特定のターゲット(要するにオタクっぽい層)を狙い撃ちという感じがする.
まあ,SFというジャンルを読む層がその辺りしかいなくなってしまっている以上,仕方がないのかな.