2004年11月08日

『女ひとり寿司』湯山玲子

[ Book]

以前,雑誌で紹介されていたのを見て以来,読みたいと思っていた本なのだが,図書館での巡り合わせが悪く,なかなか借りることができなかった.先日,ようやく戻ってきたところをゲット.

西原理恵子のエッセイだったと思うのだが,「昼ごはん仲間から外されるくらいなら死んだ方がいい」という女子学生の話が読んだことがある.
それを読んだときは「なるほど,女の子は大変だな」と思ったものだが,その後,大人になっても女性が一人で外食をするのは結構キビシイということを知った.
時代は流れ,現在では女性が「ひとりごはん」できる店が各種メディアで紹介されるようになったことから判断するに,女性が一人で外食をすることは市民権を勝ち取りつつあるようだ.
しかし,そういう現在でも女性の一人客にとって敷居が高いのが寿司屋だという.

著者は一人で高級寿司屋に入った際のヒドイ扱いをきっかけに,超老舗の江戸前寿司屋や新進気鋭の創作寿司屋などの有名高級寿司屋に女一人で行くという雑誌連載を書くことになるのだが,それをまとめたのがこの本.

まえがきには

この本は、一見グルメ蘊蓄本の体裁を取っているが、寿司屋という場になぜだか異様に立ち上がってしまう、私たちの住んでいる社会や人間の性、男と女の関係についての観察&考察ノートとして読んで楽しんでいただければ、ホントに嬉しく思います。

などと書かれているが,グルメ蘊蓄本としても十分読める.特に著者が寿司の"スタンダード"を獲得した話などは,「うぉーー,その寿司,おれにも食わせろーー!」と叫びたくなってしまうくらい.
もちろん著者の言うとおりの楽しみ方もできる.かなりの毒舌&リズムのいい文章で,シニカルな笑いがそこかしこに溢れているので,そういうのが好きでグルメな人にはオススメかもしれない.

ということで,とても面白い本ではあるのだが,寿司といえば近所のスーパーの半額パックな私にとっては,非常に眼の毒(胃袋の毒?)な本でもあった.
時間と懐に余裕ができたら,「男ひとり寿司」にも一度は挑戦してみたいものだ.