2005年04月11日

『黄金旅風』飯嶋和一

[ Book]

まだ鎖国が始まっていない江戸初期,国際情勢と江戸幕府の方針転換に翻弄されながらも,ジャンク船を使っての中国・東南アジア方面との貿易の拠点として繁栄する長崎に,海外派兵の野心に燃えた大名が奉行として赴任してきた.
その圧政から民を救うべく,「不肖の放蕩息子」と「南蛮人切りの悪童」が立ち上がる...

書店で平積みになっている時に,その装丁のあまりの素晴らしさ(というか派手さ?)に目を惹かれ,そのときから気になっていた作品.2005年の本屋大賞にノミネートされたくらいだから(受賞はできなかった),きっと面白いのだろうと松山市立中央図書館で借りてきた.

朱印船貿易だとか奉書船,糸割符制度など,日本史で習ったような単語がビシビシ出てくるのだが,本作を読んで「おおっ,そういうことだったのか!」とようやく分かった.そういう意味では受験生にオススメな作品かもしれない(笑).

ただ,結構な厚みがあるし,現在では馴染みのない用語(砥草色とか分かる?)も多いので,時代物を読みなれていない人にはツライかな.
ストーリー的にも,主人公の一人だと思っていた人物が途中で死んでしまったり,第三部が外伝的な話であったり,後半は政治的な話がほとんどになってしまったりで,非常に読む人を選ぶ作品のような気がする.