ある人形師の造った人形に魅せられた青年,その人形師の造った人形にそっくりな劇団女優,その人形師を見出した事業家であり劇団女優のパトロンでもある男性.ある人形師とその人形を中心に,三者の思惑が絡み合う...
加納朋子の10冊目の単行本にして,作者初の長編らしい.そう言われてみると,確かに今まで読んだのは連作短編か中編ばかりだな.ちょっと意外だった.
作者お得意のちょっとユーモアを交えた日常の謎を期待していると,ちょっと足元を掬われるかもしれない.
どちらかというと『ガラスの麒麟』や『いちばん初めにあった海』系の,ちょっと不気味な雰囲気が漂っているのは,重要な小道具として出てくる人形のせいだろうか.
以下はネタバレ気味なので,これから読もうという人は読まない方がいいかも.
序盤はそれぞれの人生模様の説明になっており,それはそれで面白いのだが,事件らしい事件が起こらずに進んでいく.
青年がストーカーっぽくなっていくので,その関係で事件が起きるのかと思っていたら...
いきなり事件勃発.この犯人は容易に想像できたのだが,その後...
へっ? なにそれ?
そういえば,この作者は以前もこの手を使ってたなあ.
でも,この時点でこの手をバラしてしまうと,残りのページはどうするつもりだ?
と余計な心配をしていたところ...
おおっ! そういう話だったのか!と納得してしまった.
加納朋子の持ちネタを遺憾なく発揮した作品だといえよう.
おまけ.
タイトルの「コッペリア」というのは,そういうバレエ作品があることに由来しているようだ.
しかし,個人的にコッペリアといえば,ロマサガ2なんだが...
ちなみに,途中でクリアを諦めてたりする(苦笑)?