2005年12月28日

WWWの障害復旧

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以前記事にしたWWWの障害についてだが,12/28の夕方に復旧した模様.

一時はアクセス困難な状況のままで年末年始の休みに突入するのではないかと心配していたのだが,なんとか御用納めまでに復旧作業が終了したようだ.
関係者のみなさん,ご苦労様でした.

今回の障害の原因は学外とのファイアウォールにあったとのこと.
予想どおりだったので,ちょっと嬉しかったりするのだが,あれだけの状況証拠があれば「原因の箇所がファイアウォールだ」と確定するのは難しくないはず.
本当に確定するのが難しいのは「ファイアウォールの中の何が原因になっているのか」なんだろう.

今年度に新しく担当した授業の中で「ブラックボックス観察実験」というのをやってみた.
数字をいくつか入力すると,その入力に応じて異なる数字が出力されるソフト(=ブラックボックス)を私のほうで作り,それを学生さんに渡して入力を出力に変換する式を当てさせるというものだ.
学生さんの感想は「難しい」というものだったのだが,この手の「入力と出力から中の構造を予想する」という行為は無意識のうちに日常行われている.
「中の構造を予想する能力なんて自分は持ってない」という人も多いだろうが,多くの場合,何度も同じようなパターンを経験した結果として,いつの間にか入力と出力の関係(=中の構造)を把握してしまっているのだ.

このようにして「把握した中の構造」は「実際の中の構造」とは違っていることも多く,それゆえの悲喜劇も数知れず発生したりする.対人関係なんてのはその最たるものだろう.
「把握した中の構造」と「実際の中の構造」が同じかどうかを調べるには,究極的には「実際の中の構造」を手にとって調べるしかない.
今回のネットワークみたいな場合はそれは可能だが,世の中にはそうもいかない場合もある.「相手のことを知りたいから」という理由で相手をバラバラにするのは少々,いや,かなりマズイ.

となると,入力と出力の試行錯誤を繰り返すことで,予想(把握)の精度を上げていくしかないのだが,時には試行錯誤が許されない,一発勝負のような場合もあるわけだ.
運を天に任せてエイヤッ!とばかりに突っ込むのも一つの手だろうが,人類というのは情報や知識を外部化して伝達することのできる類稀な種族なわけで,他の人に聞いたり学んだりすることで,よりよい予想(把握)ができるようになるはずだ.

ということで,「WWWの障害回復」という題名なのに,「VIVA! 人類の英知」または「学ぶ姿勢を大切に」という「看板に偽りあり」なオチで,この記事終わり.