2006年05月02日

ロングテール

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2005年の春ごろ,私がチェックしているサイトのあちこちで「ロングテール」というものが話題になっていた.
最初のうちは意味不明だったのだが,色々と調べていくと「なるほど,そういうこともあるかもね」と納得したものの,「条件がかなり厳しいので,話題にされているほど,適用できる場面は多くないだろう」と判断したので,それ以上追いかけるのは止めにした.

その後,ロングテールの日本における火付け役である梅田望夫のウェブ進化論がベストセラーになったり,個人的にも本業の方でウェブ関係の調べものをやったりしていたのだが,そんなある日,ふと思った.

「このブログのアクセス数を調べれば,ロングテールが実感できるのではないか?」

そこで,それまで使っていたログ解析ツールを止めて,今回の目的に合うツールに変更したのが1月末日.
それから3か月が過ぎた.3か月分もログがあればある程度確かな結果が出せるだろう.
ということで,分析開始.

最初に,ロングテールという概念あるいは現象についてなのだが,まずは富士通総研による説明を読んで欲しい.
大雑把に言えば,「売れ行きの悪いニッチ商品(あるいはマニアックな商品)でも束になれば,売れ筋商品に対抗できるほどの売上になる」というのがロングテールの考え方だ.

で,この売れ筋重視の考え方の背景にあるのがパレートの法則という考え方.
「全商品の売上合計の80%は上位20%の商品によるものである」というもので,そこから別名「80:20の法則」だとか「2・8の法則」などとも呼ばれている.
元々は高額所得者と納税額の関係についての経験則だったらしいのだが,他にも組織における働き者と貢献度の関係などでも同じことが当てはまると言われており,色々なところで適用できるっぽい.

パレートの法則に従えば売れ筋重視の方が利益が出るが,ロングテールが正しければ売れ筋重視よりもニッチ商品を多数揃えた方が儲かるという話になる.
で,この上位20%までの売れ筋のことをヘッド,それ以外の80%をテールと読んでおくことにしよう(Wikipediaによれば正しくない用語法らしいが).
例えば,昨日の記事に出てきた4月のアクセス数トップ10などはヘッドの一部ということになる.

で,ここからは分析.
このブログは各記事の冒頭部分だけを集めたトップページおよびカテゴリー別ページと,記事の全文が読める個別ページがあるのだが,今回は調査の主旨から個別ページだけのアクセス数で分析してみた.

まずは4月のログを使って分析してみよう.
アクセスされた個別ページの総数が628ページ.
なので,ヘッドは上位125ページで,テールは残りの503ページということになる.
で,ヘッドのアクセス数合計が4951,テールのアクセス数合計が1387.

ヘッドとテールの割合は78.1%:21.9%



思いっきり80:20の法則に従ってるやん!

うーん,1か月分では分析対象が少なすぎたかな.ロングテールが成り立つためにはアイテム数(ここではアクセスされた個別ページの総数)が多くないとダメっぽいしな.

ということで,3月と4月の合計で.
アクセスされた個別ページの総数が753ページ.
なので,ヘッドは上位150ページで,テールは残りの603ページ.
で,ヘッドのアクセス数合計が10654,テールのアクセス数合計が3006.

ヘッドとテールの割合は78.0%:22.0%



やっぱり80:20の法則に従ってるやん!!

うーん,2ヶ月でもまだ少ないか.では3ヶ月分ならどうだ!?
アクセスされた個別ページの総数が872ページ.
なので,ヘッドは上位174ページで,テールは残りの698ページ.
で,ヘッドのアクセス数合計が15728,テールのアクセス数合計が4665.

ヘッドとテールの割合は77.1%:22.9%



これでも80:20の法則から抜けられないのか!!!

ロングテールが観測されたamazonの場合,アイテム数が230万らしいから,900弱のアイテム数では全然足りないということか.
確かにアクセスされた個別ページの総数が増えていくとヘッドの割合がほんのわずかではあるが小さくなっているので,この調子で個別ページの総数が増えていけば,いつかはパレートの法則から抜け出せそうだ.

ちなみに900弱という個別ページ総数は現在の最大値とほぼ同じ.なので,個別ページ総数を増やすためには記事を書いていて増やす必要がある.
しかし,個別ページを100ページ増やしても1%変わらないという現在の変化の割合がそのまま継続するとすれば,1日1ページの現在のペースでいくと...

パレートの法則から抜け出して,ロングテールの世界に旅立てるのはいつの日になることやら...


・おまけ,というか補足
同じような分析をしている人が他にもいたのだが,ページ自体のアクセス数ではなく,検索語でグラフを作るのが正しい分析方法なのかな?
確かに検索語にすれば,個別ページ数の制約よりもアイテム数を増やせるからなあ.