2006年05月13日

飛ぶ鳥を落とす

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先日,ある方と飲みながら話をしているとき,「飛ぶ鳥を落とす勢いですね」みたいなことを言われた.
当然のことながら全然そんなことはないので,反対のことを言おうとしたのだが,言葉に詰まってしまった.
『飛ぶ鳥を落とす』の反対語って何だ?
『飛ぶ鳥を飛ばす』? 『飛ぶ鳥を昇らせる』?
いや,そもそも『飛ぶ鳥を落とす』ってどういう意味だ? どうして勢いがあると鳥が落ちるんだ?

ということで検索してみた.

『飛ぶ鳥を落とす勢い』というのは,普段の生活では,絶好調だとか,ブイブイ言わせてるとか,そういう感じで使われているが,gooの国語辞典には「きわめて盛んな勢いのたとえ」とある.
あと,「権勢が盛んであることのたとえ」ともあって,平治物語の一節が例文として挙げられているのだが,そこでは「草木もなびく」と一緒に使われている.
ふむ,鳥が落ちたり,草がなびく=こっちに向かって引き寄せられるということは,権力を引力のような物理的なものにたとえているのかな.
うーん,理解できなくもないが,こういう言い回しができたときに引力の概念があったとは思えないし,ちょっと微妙だな.

もう少し調べてみようということで,例文の中にあった「信西」&「飛ぶ鳥」で検索.
候補を色々と見ていくと,「草木もなびく」とは違う組み合わせで使われているのが見つかった.
平家物語の木曽義仲のくだりで,宣旨(帝の命令)なら枯れ木も花を咲かせるし,飛んでる鳥も落ちるという.
こっちだと,不可能を可能にするほどの権力の強さのダイレクトな表現だな.

なんとなく分かった気もするが,確認のために「宣旨」&「飛ぶ鳥」で検索.
すると五位鷺の由来がヒットした.やっぱり権力の強さが由来らしい.

と,由来については納得できたのだが,反対語の方はしっくりくるのが見つからなかった.
『尾羽打ち枯らす』になるのかなあ?