2006年05月12日

『本当はちがうんだ日記』穂村弘

[ Book]

世界音痴にして人生の経験値が低い著者のエッセイ第四弾.
松山市立中央図書館に予約を入れていたのだが,手元に届いた本を見ると三津浜図書館所蔵になっていた.

これまで読んだエッセイと比較すると,『世界音痴』とよく似た傾向の内容で,著者同様,人生の経験値が低く世界音痴の傾向のある私にとっては,けっこう共感できるというか身につまされる内容だったりする.

しかし,

私しか知らないことだが、実は、今ここにいる私は「私のリハーサル」なのである。これはまだ本番ではない。素敵レベルが低いのはそのためなのだ。芋虫が蝶に変わるように、或る日、私は本当の私になる。

...全然そうは思わないといえばウソになってしまうので全否定はしないが,さすがにそれは「ダメ人間」の典型的な発言だろう?

などと思っていたら,あとがきでリハーサルを終えて本番を生きるきっかけになった事件が書かれていた.
そうか,そんなことが本番スタートのきっかけになるのか...

全体的に当たりが多いエッセイ集だったが,最後の方にそれまでの内容とは異質のエッセイが3本入っていた.
個人的にはこういうのも好きなのだが,気になったので初出一覧を見てみると,『FRaU』とか『クロワッサン』で発表されたものだった.
なるほど,こういう文章もかけるんだったら女性誌に書いてもおかしくないよな.