「喪失」をテーマとした短編集.
図書館の貸出枠が1冊余っていたので,薄めでサクッと読める短編集でも,と気軽な気持ちで借りてきた.
しかし,最初の短編を読み終えたとき...
ぐわっ,前に読んだことがある本だ!
どうやら「喪失」していたのは,自分の記憶力だったようだ.
それも読み終わってから気がついたくらい,読んだ記憶が失われていたので,改めてもう一度読んでみることにした.
恐ろしいことに,充分に楽しむことができた.
色々な情報を総合すると,読んだのは約2年前.
2年間でこれほどまでに記憶がなくなってしまうものか...
作者は「いい話」系と「ブラック」系の両方をかける人なのだが,今回はブラック系が多め.
いや,ブラック系というよりも,登場人物が微妙に壊れている(壊れていく)話というべきか.
個人的には「不完全自殺マニュアル」「ドーナッツ・リング」「みんないってしまう」がよかった.