2006年12月20日

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー

[ Book]

九州の小倉で生まれた「ボク」は,「オトン」と別居した「オカン」とともに筑豊で生活することに.そして,オカンを自由にしてあげなければという思いから,一人暮らしをはじめるものの,やはりオカンに頼りっぱなしだったボクだが,ようやく東京でオカンと一緒に暮らせるようになり...

卒業生にして同僚な人が貸してくれた本で,各方面で大絶賛されている作品.
「母子」「病気」「死」の大三元で,「泣けた」「号泣」という声があちこちであがっているのも分からなくはない.
だがしかし...

まったく泣けなかった.

目が熱くなることさえなかった.

むしろ,ときどき腹が立ちさえした.

さすが『アルジャーノンに花束を』を読んで怒りに震える人なだけのことはあるな>自分

いや,すごく良い話だとは思う.母親の子供への愛情と献身が「これでもかっ!!」とばかりに描かれていて,各方面で絶賛されているのも頷ける.
でも,それゆえに,その愛情と献身を受ける側の子供の生活の自堕落さに腹が立って仕方がなかったのだ.
卒業証書の話とか,どう考えても目頭が熱くなるはずなのに,それ以前に「お前がしっかりしてたら!」と思ってしまって感動できなかった.

あと,「長編作品」としてキッチリ構成した上で書かれていないためだと思うけど,ところどころに違和感があった.
まあ,構成を考えに考え抜いた上で書いた作品だったら,逆にこれほどの評価は受けなかったかもしれないけど.