2006年12月22日

『面白南極料理人』西村淳

[ Book]

南極昭和基地から内陸へさらに1000キロ,平均気温マイナス57度,最低記録気温マイナス79.7度,世界でもっとも過酷といわれる観測拠点「ドーム基地」.そこで9人の「オッサン」たちは一年間をどのように過ごしたのか?
海上保安庁に所属するコックである著者による,南極での日々や食生活を描いたエッセイ.

ネットで紹介されているのを見てチェックリストに入れておいた本.松山市立中央図書館所蔵.

マイナス40度ではバナナで釘が打てるらしいが,それよりさらに寒い世界.
なのに,なぜか冒頭のカラーページには,南極の景色やペンギンとともに,屋外で裸になっているオッサンたちの写真が...

この本に興味を持ったのは,私がよく授業で使うビデオのひとつに『プロジェクトX』の南極越冬隊の回があるため.
この南極越冬隊の回はかなり感動的に仕上がっており,何度見てもラストのあたりでジーンとしてしまう.
なのに,同じ南極越冬隊なのに,むさくるしいおっさん達の見苦しい裸の写真が!
ガラガラと音を立てて崩れていく南極越冬隊の崇高なイメージ...

というのは半分くらい冗談.
西堀栄三郎隊長が昭和基地で越冬したときから50年近くが過ぎている現在,南極での生活もかなり快適なものになっているようだ.

それでも,平均気温マイナス57度という超低温の世界での生活は,私達の日常生活とはぜんぜん違っており,そのあたりのことを知るだけでも面白い.
ちなみに南極基地での統計によると,人間が1年間に必要とする食料は飲み物を含めて1トン弱もあるそうだ.