2007年01月09日

『犯人に告ぐ』雫井脩介

[ Book]

マスコミに大々的に取り上げられた連続児童殺人事件.
捜査に行き詰った神奈川県警の上層部はニュース番組を活用した「劇場型捜査」を考案.
その実行者として白羽の矢が立てられた「巻島」には,かつて児童誘拐事件で取り返しの付かないミスをした経験が...

卒業生にして同僚な人が貸してくれた本.
警察小説の一種なんだろうけど,どうも私は警察小説を手に取ることが少ないようで,過去の記事を検索してみても横山秀夫の『顔』しかヒットしなかった.確か,これも他の人から借りた本のはず.

これは私の偏見かもしれないが,警察小説というのは「外側の敵」である犯罪者以上に,「内側の敵」である警察機構の慣習や内部の権力闘争が大きな比重を占めているような気がする.
個人的にその手のドロドロが嫌いということもあるのだが,それに加えて,組織のあり方とかについて考えてしまうため(一種の職業病),本筋に集中できなくなってしまうみたいで,娯楽として読むときには無意識のうちに避けてしまうようなのだ.

じゃあ,この作品はどうなのかというと,やっぱりドロドロしていた.
とはいえ,描かれているドロドロがシンプルなので,それほど嫌悪感はなかったかな.

ストーリーもよくできていて,かなり面白かった.
しかし,最後の捜査方法って,あれだけで任意同行かけられるのか? あれでオッケーだったら,最終的に自白さえさせられれば「何でもアリ」になってしまうような...