2007年06月27日

『モノレールねこ』加納朋子

[ Book]

世代も性別も種族(?)も異なる主人公の一人称小説を集めた短編集.

読むのはえらく久しぶりの加納朋子作品.調べてみたら1年ぶりくらいだった.三津浜図書館所蔵.

加納朋子と言えば,日常の謎系のミステリなわけだが,本作は「日常」ではあるけど,「謎」はほとんど無かった.
amazonの書評を読んで初めて気がついたのだが,テーマは「家族」らしい.

テーマといい,謎要素が希薄なことといい,読んだ感覚は『てるてるあした』に近かったかな.

話としては「家族についてのいい話」ばかりなので(一編だけは例外?),安心して読むことができることができるのだが,それゆえに結末が何となく読めてしまう作品もいくつかあった.
でも,それを差し引いても面白かったので,温かな気持ちになりたい人にはオススメ.
個人的に好きなのは,『ポトスの樹』(父親にゲームを勝手に進められてしまうエピソードのディテールが妙に細かくて笑ってしまった))と『バルタン最期の日』かな.