2007年06月29日

『神の守り人 来訪編+帰還編』上橋菜穂子

[ Book]

ロタ王国で,「バルサ」と「タンダ」は幼い兄妹「チキサ」と「アスラ」を助ける.「アスラ」が命を狙われる理由,それは彼女が「<おそろしき神>タルマハヤ」をこの世に呼び戻す力を持っているためだった.亡き母の教えのため,その力を使うことに罪悪感を感じない「アスラ」に対して「バルサ」は...

『守り人』シリーズとしては第4作目になるのかな? 今回は前後編の2冊組.三津浜図書館所蔵.

作者が文化人類学の研究者ということもあってか,本作もロタ王国の建国神話と内容が密接に絡んでいる.
それも単に神様がどうのこうのというだけでなく,それに付随した人間の営みというか,そのあたりのドロドロしたものが現在に影響を及ぼしているわけで,権力者と虐げられた者たちの表の関係と裏の関係とか,そのあたりも面白かった.

さらには,『虚空の旅人』から登場してきたタルシュ帝国も絡んできて,経済や国際政治の要素も強くなってる.
うーん,ちゃんと「世界」を作っている感じだよなあ.