2007年07月02日

『斜め屋敷の犯罪』島田荘司

[ Book]

宗谷岬の高台に建つ奇妙な建物「流氷館」.会社社長「浜本幸三郎」によって最初から斜めに造られたこの屋敷で,クリスマスの夜に密室殺人が発生する.
不可解な状況に難航する捜査.そして,捜査のために滞在していた警察が監視する中,第二の密室殺人が...

同僚に貸してもらった本なのだが,島田荘司の本を読むのはこれが初めて.
島田荘司と言えば,本格ミステリの代表的な作家で「御手洗潔」シリーズが有名な作家だが,本作は「御手洗潔」シリーズの二作目にあたるらしい.でも,本人が登場するのは後半からだったりする.

本作はミステリの中でも「館もの」の元祖とでもいえる作品で,舞台となる流氷館の構造が凄まじい.
冒頭に見取り図が掲載されていて,その構造だけでもややこしいのだが,これに加えて建物が斜めに傾いているという設定も付いている.ちなみに,この設定は見取り図には反映されていないので,私は傾きの方向を最後まで間違っていた.

後半になって登場する探偵役の御手洗潔のキャラクターも凄まじい.なぜか,もっと常識人だと思いこんでいたのだが,京極堂シリーズの榎木津礼二郎もビックリの変人だった.

そして,何よりもトリックが凄まじかった.
第二の殺人のトリックが明かされたとき,思わず本を投げそうになったくらい.いや,確かに破綻はしてないけど,このトリックは誰にも分からんだろう...