2007年08月02日

『「ロボット」心理学』佐々木正悟

[ Book]

帯には「人間はどうして退屈してしまうのか?」とあるのだが,その問いに対して「ネオフィリア」と「ロボット」という概念を使って答えた本.

最初に生協で見かけたときは,「AI(人工知能)の知識を使った心理学の本かな?」と思って手に取ってみたのだが,全然そういう本じゃなかったので買わなかった.

その後,著者がLifeHack関連でこのところ有名になっている人だということに気がついたので,改めて読んでみた.

まず,使われている概念の一つである「ネオフィリア」だが,これ自体はライアル・ワトソンの考え方(なのか?)で,「新しいもの好き」という意味.
新しいものを恐れる=リスクをとらない種よりも,新しいもの好き=リスクをとる種のほうが進化や発展には有利であるという考え方で,そういう意味では人間はネオフィリアだとされる.

一方,人間には出来るだけ楽をしようという性質も備わっており,そのために学習機能をつかって動作を自動化しようとする.これが「ロボット」.
しかし,このロボットのせいで,「新しいもの」はどんどん「よく知ったもの」になってしまうため,ネオフィリアの性質が満足できなくなってしまう.これが退屈する原因というわけだ.

じゃあ,どうすればいいのか?ということについては本書を読んでいただきたい.
個人的には分析については「なるほどなあ」だったのだが,対策についてはちょっと微妙なところだった.