2007年08月08日

『毒を食らわば』ドロシー・L・セイヤーズ

[ Book]

元恋人を砒素で毒殺した容疑で裁判にかけられた女流作家「ハリエット・ヴェイン」.
彼女に恋をした探偵貴族「ピーター・ウィムジイ」は,彼女を救うべく,調査に乗り出す...

ピーター卿シリーズの5作目.松山市立中央図書館所蔵.

この登場人物のおかげでシリーズの作風が変わったほどの重要人物であり,後半のヒロインでもあるらしい「ハリエット・ヴェイン」が登場.
登場したのだが...

何だか「えっ?」という感じでスタート.
というのも,登場した時点で「ハリエット」は既に捕まっているのだが,それまで個人的に会ったこともなかった彼女に対して,ピーター卿は最初からメロメロ.
拘置所の面会で最初に会ったときにいきなりプロポーズまでしているのだが,彼女のどこにそれほど魅力を感じたのかが全く分からないので,読んでる方としては唖然としてしまう.

で,恋ゆえなのか,これまでのピーター卿は常にユーモアと余裕を忘れない人物として描かれていたのだが,本作ではなかなか進まない捜査に焦れたりする.
まあ,確かにこんな感じで悩んだり焦れたりするほうが,今までのスーパーマン的なキャラクターよりも人間っぽいんだろうけど,今までのノリが好きな人にはマイナスになりそうだなあ.