2007年08月10日

『五匹の赤い鰊』ドロシー・L・セイヤーズ

[ Book]

スコットランドの田舎町で,嫌われ者の画家が死体で発見された.
事故死に見せかけた他殺だと見破った探偵貴族「ピーター・ウィムジイ」は,容疑者である6人の画家についての調査を開始する.
しかし,容疑者の誰もが曖昧なアリバイしかもっておらず...

ピーター卿シリーズの6作目.松山市立中央図書館所蔵.

前作でようやく登場した「ハリエット・ヴェイン」とピーター卿の関係はどうなるのかな?とページを読み進んでみたのだが...

これが,ハリエット・ヴェインのハの字も出てこなかった.
読む順番間違ったかな?と思ったのだが,本作が『毒を食らわば』の次の作品.

しかも,話がこれまでのピーター卿シリーズとかなり違っていて,本格的な推理小説というか,立派なアリバイものになっていて,かなりややこしい.
容疑者が6人と多いことに加えて,馴染みのない地名と交通機関など,読んでいてもあまり頭の中に入らなかった.
真剣に犯人を当てようと思うのであれば,ちゃんとメモを用意して読んでいかないと,おそらく頭の中がパンクしてしまうだろう.

しかし,どうしてこんな話になったんだ?と思ったのだが,解説によると,別の作家との対談をして「衰退しつつある純粋パズル型探偵小説」を書いてみようと思った結果らしい.
うーん,次の作品からは元のピーター卿シリーズに戻って欲しいなあ...

ちなみにタイトルの「赤い鰊」の原語は「Red Herring」で,「ニセの手がかり」という意味.
シリコンバレーのハイテク業界専門誌にも同じ名前のものがあるんだけど,ブラックユーモアで名付けられたのかなあ.

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