2007年08月13日

『動物園の鳥』坂木司

[ Book]

保険会社に勤める「坂木司」と,ひきこもりプログラマーであり,天才的な推理力の持ち主である「鳥井真一」.
そんな二人に持ち込まれた今回の依頼は,動物園の園内で見かける虐待された野良猫の問題.
現場を見るべく動物園を訪れた二人は,そこで昔の知り合いに出会うのだが...

ひきこもり探偵とその友人を描いた『青空の卵』『青空の卵』の続編.松山市立中央図書館所蔵.

このシリーズも本作で完結ということで,これまでの連作短編ではなく,1冊で1つの長編になっている.
あいかわらずの歪んだ関係なわけだが,それも本作でいちおうの終止符が打たれている.

本作ではひきこもりの「鳥井」ではなく,語り手である「坂木」の心情の方に重点が置かれているようで,本シリーズではお馴染みの「鳥井」の幼児退行シーンは少なめ.
これまでの作品でも,「鳥井」よりも「坂木」の考えることの方に共感したり,心当たりがあったりすることが多かったので,シリーズ中では最もズキズキしたかも.

このシリーズ,既に文庫になっているのだが,文庫版には「鳥井家を彩る数々の家庭料理をご自宅で作れる、簡単レシピ集「鳥井家の食卓」など」のおまけがついているらしい.ちょっと興味があるので,本屋で立ち読みしてみよう.

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