2007年09月12日

『追伸・こちら特別配達課』小川一水

[ Book]

21世紀,省庁統合によって郵便行政を行っていた郵政省は総務省に統合されたが,全国2万5千局の郵便局と郵便ネットワークは今も健在.
しかし変革の波は,ありとあらゆるものを届けるための部署「特別配達課」にも及んで...

『こちら郵政省特配課』の続編なのだが,郵政省の一部署ではなくなったのでタイトルが一部変更になっている.
前作では,国家権力を十二分に活用して民間業者が太刀打ちできないような機材や装備をガンガン使うという,従来の作者の作風とは違った話だったのだが,今回は立場が逆転,弱者の立場で頑張るといういつもの話に戻っている.

内容の方だが,先ほども書いたようにいつもの作者の作風に戻っているので,以前の作品が好きな人だったら楽しめると思う.
でも,途中でそれほど必然性もなく『頭文字D』が始まるのは,あとがきにも書いてあるように作者の趣味なんだろうなあ(笑).

この作品,刊行は2001年なのだが,あとがきによると,最初の原稿を書き上げたのは小泉改革の前だったので,まったく現実味の無かった郵政民営化を絡めた話だったらしい.
ところが,現実がフィクションに追いついたどころか追い越してしまったため,かなり話が変わったそうだ.変わる前の話もリアルタイムで読んでみたかった気もするなあ.

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