池袋ウエストゲートパーク(IWGP)のシリーズ5冊目(外伝を入れると6冊目).
短編3本+中編1本の計4本を収録.
池袋という街を舞台にしながら,いろいろな題材を扱っているのが本作の特徴なわけだが,今回も風俗スカウト,ロックスター,中国製の人形,自殺サイトと幅広い.
このシリーズは文庫で読むことにしているのだが,だいたいハードカバーで新作がでると,その一つ前の作品が文庫化されるのがパターンだったのだが,今回はハードカバーで7作目が出てから5作目の本作が文庫化された.
他社で出ていた外伝を文春文庫から再発行したのでパターンがずれたのかもしれないが,既に他社発行の文庫で外伝を入手済みの私にとっては新作を読むのが遅れるだけなので迷惑千万なことだ.
中国製の人形についての話でタイトルが「死に至る玩具」とくれば,鉛塗料のあれか!と時事ネタに詳しい人は思うかもしれないが,実際には過酷な工場労働を扱った話(雑誌掲載は2004年).なかなか面白かった.
風俗スカウトを扱った話の中で「セリクラ」という単語が出てきた.
一般にセリクラといえばセリングクライマックスという金融用語(株式用語)の略なのだが,本作での文脈から考えると,どうも新手の風俗業らしい.
ということで,調べてみたら「札束で女の子を競り落とす紳士の競技のこと」とあった.いやいや,それは「紳士の競技」じゃないだろう(苦笑).
もうちょっと調べてみたら,地下経済の第一人者である門倉貴史氏のレポートがヒット.ふーん,面白いシステムというか,こういう抜け道を色々と探す風俗業者のしたたかさに感心してしまった.