2007年09月18日

『陰摩羅鬼の瑕』京極夏彦

[ Book]

長野県にある「鳥の城」と呼ばれる洋館の主「由良昴允」は,超能力探偵「榎木津礼次郎」に花嫁の護衛を依頼した.
この主の花嫁となった女性は,結婚式直後に4人連続で殺されており,今度の花嫁こそは守りたいのだという.
急病で目の見えなくなった探偵「榎木津」と共に,鬱病あがりの小説家「関口巽」が洋館を訪れるのだが...

本編を読むのはかなり久しぶりの京極堂シリーズ.同僚に貸してもらった.

この前作である『塗仏の宴』を読んだのは大阪にいた頃だから,7年以上ご無沙汰だったことになる.
相変わらずの分厚さで,約750ページもある.
あるのだが...

200ページも読まないうちに犯人と動機が分かってしまった...

いや,これまで,とんでもない動機とトリックと伏線で,頭をグルグルさせてきた京極堂シリーズだし,これはきっとミスディレクション,レッドヘリングに違いない.

と思いつつ,読み続けていったのだが,最初に予想したとおりの結末.

ということで,謎解きミステリとしては,かなり単純な作品なのだが,そこに話を持っていくまでの寄り道があいかわらず凄い.本作では哲学と儒教がテーマとして取り上げられている.
一般的な儒教のイメージを確立させた林羅山の話などが出てくるのだが,昔(それこそ大阪にいた頃),酒見賢一の『陋巷に在り』を読んでいたのを思い出した.
そういえば,最後まで読んでないんだよなあ.時間を見つけて,改めて読み直すことにしよう.

でも,同じ位置づけの本に『ローマ人の物語』があるんだよな.
うーん,読むべき本が溜まっていく...

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