2007年10月02日

『洗脳原論』苫米地英人

[ Book]

怪しいタイトルに加えて,カバーもかなりおどろおどろしい本なのだが,タイトルどおり,洗脳のメカニズムが,著者の体験に基づいて説明されている.
このところ,この著者の名前を見かけることが急に多くなった気がしたので,とりあえず借りてみた.

著者はオウム事件が起こった頃からワイドショーなどに時々登場するようになったのだが,見かけや紹介のされ方がかなり怪しかった.
この本を読んで,正確なプロフィールがようやく分かったのだが,これがまた,かなり怪しいというかユニークな人のようだ.

もともとは上智大学の外国語学部出身なのだが,もともと人工知能に興味があったらしく(その興味の由来がディベートというのも面白い),アメリカの大学院で人工知能の研究をすることになった.
その研究のためにコンピュータ,哲学,心理学を学ぶのだが,そこから興味が脳機能に発展していくのだが,そこで変性意識状態の研究を行うようになるのだが,その研究成果を使って洗脳を解くことができるのではないかと思い,やってみたら成功したらしい.
で,現在(執筆当時)は脱洗脳をする傍ら,ハッカーへの防衛プログラムを作ったりしているそうだ.

...うーん,キャリアとしてはちゃんとスジは通ってるけど,ちょっと怪しげな人だよなあ.

とはいえ,洗脳と脳機能の話などはちゃんと理屈に基づいて書かれているので,それなりにちゃんとした人なんだろう.
しかし,この人が脱洗脳をするときの武器のくだりを読むと,やっぱり怪しげに思えてしまう.
この著者は昔から人の声などが色やイメージで見えたらしい.これ自体は共感覚というやつで,それほど怪しげではないのだが,この人はそのイメージをジェスチャーなどを使うことで他の人にも見せることができるのだという.このくだりがちょっとなあ.

と,色々と思うことはあるのだが,高速音声によるオーバーフローの話なども興味深かったし,全体としては読んで損はなかったかな.

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