2008年01月17日

『四畳半神話大系』森見登美彦

[ Book]

京都の四畳半で大学生活を送る「私」.これまでの無為に過ごしてきた2年間大学生活を思い返す.
新入生のときに興味を惹かれた4つのサークル勧誘.
映画サークル「みそぎ」,「弟子求ム」という奇想天外なビラ,ソフトボールサークル「ほんわか」,秘密機関<福猫飯店>.
あのとき,別のサークルを選んでいれば「バラ色のキャンパスライフ」を手に入れることができたかもしれないのに...

2007年にブレイクした森見登美彦の第2作.三津浜図書館所蔵.

最初に読んだ『きつねのはなし』がホラーっぽい話だったのに対して,本作は青春コメディとでも言うべき作品で,どうやらこちらの作風が本筋らしい.

『きつねのはなし』と同様,京都が舞台になった作品で,登場人物や舞台設定,イベントが共通しているが,微妙に違った世界を描いた4本の短編からなる短編集.

冒頭にも書いたように,どのサークルを選ぶかでストーリーが違っているのだが,基本的にどの短編でも同じようなイベントが起きて,同じような結末に辿り着く.それどころか,作中の描写もまったく同じブロックがあったりするので,ある意味では手抜き作品.
おかげで,読むのを中断してから再開する時にページを間違ったことがあったのだが,かなり読み進めるまで気がつかなかった.

ネットで感想を検索してみると,その繰り返しが嫌な人もいるようだが,個人的には面白かった.
『きつねのはなし』よりも圧倒的に好みなので,同じような作風の『夜は短し歩けよ乙女』も期待大だな.

で,その『夜は短し恋せよ乙女』にはこの作品の登場人物も出てくるらしいのだが,さて,どの話の登場人物なんだろう?

コメント (2)

たしか四章ともに出て来るあの人だったような気がしますが、記憶がさだかでないkoです。こんにちは。

私の印象に残っているのは、最初の三つの話は小津が主人公に話しかけてそれに主人公が答えるところで締めなのに、最後の話では主人公が小津に話しかけて小津が答える、という点。
主人公の世界が外に開いた感じで、小技がきいてるなーと思いました。

著者のブログ(”この門をくぐる者は”あたりで検索すると出て来ます)も小説の文体そのままで面白いです。

と、唐突に去る^^)


確かに,繰り返しでパターン化しておいて,最後に捻るというのは上手いですよね.
予約しておいた『夜は短し…』が届いたのですが,仕事に追われて読めないという,蛇の生殺し状況に陥ってます.出張に持っていって読もう.


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