2005年06月16日

『桜宵』北森鴻

[ Book]

住宅街の中にひっそりと営業しているビア・バー「香菜里屋」.
マスターである工藤の料理と推理に今日も常連たちは酔いしれる.

以前読んだ『花の下にて春死なむ』の続編.形式も前回と同じ連作短編集で,今回は5つの話が収められている.
前作では「うーん,解決したのかなあ?」的な話が多かったのだが,本作ではその傾向は少し薄まっている感じがする.
その意味では,前作よりも面白く読めたのだが,話の掲載順に問題があるようで,読み進んでいくにつれて「...」となっていき,最後には「うわぁ...」となってしまった.

あと,相変わらず出てくる料理が美味しそうなのだが,今回は料理だけでなくカクテルも出てくる.
そのうちの一つはジン,シャルトリューズ,ドランブイという,私の好きな酒を三つとも使ったカクテルなのだが,これは作ってみろという神のお告げだろうか?

おまけ.
表題作の中に「御衣黄」という珍しい桜が出てくるのだが,実物を一度見てみたいと思って検索してみた.
ちゃんと調べ切れていないのだが,いちばん近いところだと小豆島になるのだろうか.ちょっと遠いなあ.「鬱金」は新居浜にあるみたいだけど.