2004年05月03日

『経営者の条件』P.F.ドラッカー

[ Book]

原題はThe Effective Executiveで,直訳だと「効果的な経営者」?
このタイトルだけで判断すると経営者志望の人以外にはまったく関係がないと思うかもしれないが,全然そんなことはない.組織に関わって何かをやっている or やろうとする人,つまり現代人であれば誰が読んでも役に立つんじゃないだろうか.

 この本でいうExecutiveというのは「物事を成すべき地位にある人」のことだが,組織における知識労働者だったら誰でもExecutiveだとも言っている.程度の差こそあれ,今の世の中ではほとんどの人がこの条件に当てはまっていると思う.

 で,この本は「業績をあげるために自らをマネジメントする方法」について書かれている.「業績をあげる」というとビジネス的なことのように感じるかもしれないが,物事を成し遂げること,単にやるだけでなく目的とする成果をあげることと翻訳すると,この本の内容が全ての現代人にとって役立ちそうなことが分かると思う.

 具体的には,成果をあげるための方法として「自分の時間の使われ方を知る」「外部の世界に対する貢献に焦点を当てる」「強みを基準に据える」「最も重要なことから始める」「成果をあげるように意思決定を行う」の5つを挙げている.
 どれもよく言われていることだと思うかもしれないが,この本の初版は1966年.40年近く前から私たちは変わっていないのか,それとも40年近く前からこういうことに気がついていたドラッカーが凄いのか...

 ということで,書かれている内容自体はありふれているかもしれないが,時間があればぜひ読んでほしい.内容自体も参考になると思うが,使われている表現やエピソードが面白いのだ.
 ちなみに一番気に入った表現は「冷凍した鯖のように冷たい人」