2004年07月20日

『ヘヴン 1-2巻』遠藤淑子

[ Book]

少し前,生協の書店部に見慣れた絵柄のマンガが平積みにされていた.遠藤淑子だった.
それまでの少女漫画と違い,同じ白泉社でも青年誌の単行本になっていた.最近では少女漫画の作者が青年誌に移ることも珍しくなくないが,あの作風で青年誌はつらくないかな等と漠然と考えたりはしたものの,手に取ることもなく,いつしか生協からも消え去っていた.
しかし,その時点で遠藤淑子の名前が再び意識の片隅に浮上していたのだろう.

その後,たまたま機会があって,遠藤淑子の単行本『ヘヴン』を手に取ることになった.

一読.それまでの「面白くてハートウォーミング」という遠藤淑子像が崩れ去った.いや,根底にあるものは同じなのだろうが,この作者,こんなにシリアスな話もかけたんだ...
そして『ヘヴン2』...もう全面降伏.ストーリーテリングと台詞回しが円熟の域にまで達しており,見事なまでに完成された作品に仕上がっていた.

かくして,第二次遠藤淑子ブームが始まった.古本屋の通販を利用し,または実際に古本屋をハシゴしては,遠藤淑子の単行本を買いあさり,それを読むという日々がしばらく続いた.
そろそろコンプリートが見えてきたが,中にはハズレもあるものの,基本的にはアタリの作品が多い.しかし,その中でも『ヘヴン 1-2巻』は別格.名台詞のオンパレードなのだが,ストーリーに深く関わっている台詞は避けておいて,個人的に好きな台詞を引用しておこう.

君の相手は後ろから追いかけてくるテロリストじゃない
戦うのは運命とだよ
転んでもあきらめるな
あきらめるな