2004年10月13日

『悪女入門』鹿島茂

[ Book]

「丸坊主にはなったので,次に目指すは悪女だなっ!」というわけで読んだ...のではもちろんなく,その前に読んだ『勝つための論文の書き方』という新書が面白かったので,その延長で読んでみた.

この本がどういう本なのかはあとがきを読んでみるとよく分かる.男の子と仲が良くても恋愛対象としては見てもらえない「ゴレンジャー・ガール」が,先天的に男を誘惑する技術を身につけている女の子(=「ウッフン」)や,誘惑の達人である「スーパー・ウッフン」と対抗できるように,誘惑術を学習するためのテキストだというのだ.

そのための題材としてフランス文学のなかでも「ファム・ファタル」(運命の女,あるいは,命取りになる女)が登場する小説(『カルメン』や『椿姫』など)をとりあげ,そのあらすじを紹介するとともに,使用されている誘惑術についての解説が行われている.

こういうスタイルの本なので,フランス文学のあらすじ本としても楽しめるし,誘惑術のためのノウハウ本としても使える...のか?
読む前はもう少しノウハウ本の性質が強いと思っていたのだけど,「相手の好みの女性を演じるための演技力が重要」というのが最終的な結論だとすると,「じゃあ,その演技力はどうするの?」という話になるしなあ...

とりあえず,『カルメン』や『椿姫』,『マノン・レスコー』などの名作についてのあらすじは分かるし,男性が惹きつけられる(とされる)女性のタイプや振る舞いについての知識の幅は広がるかな.


おまけ.
私は本を読みながら寝てしまうと,その内容に関係のある夢を見ることがよくある.
で,この本を読んでいるときに「なるほど,こういうシチュエーションだったら一撃だな」という夢を見てしまった.
そういう夢を見る体質でないとしても,この本には色々な女性のタイプが出てくるので,女性が読んで誘惑術を学ぶだけでなく,男性が読んで自分の弱いタイプを自覚するためにも使えるかもしれない.