2004年12月07日

『オフィス北極星 全10巻』真刈信二・中山昌亮

[ Book]

学生・院生時代に貸本屋で借りて読んでいたのだが,最近になって急に再読したくなったので,古本屋を探し回ってゲットしてきた.

ニューヨークでリスク・コンサルタント(企業や個人が訴訟を起こされないようにアドバイスしたり,起こされた場合には被害を最小限に(時にはゼロに)するために働くコンサルタント)を開業した日本人ゴーが,個性豊かな依頼人と彼らが巻き込まれたトラブルに立ち向かう物語.

訴訟社会のアメリカが舞台ということで,法廷シーンや法廷戦術がたくさん出てくるのだが,この物語の本質はそこではないと思う.
経済的あるいは法廷戦術的に不利だとしても,それぞれの信念や価値観を曲げない登場人物たちの生き様こそがメインテーマなんだろう.

個人的には美術品の話と両親を告訴した少年の話が好き.不覚にも今回読み直してみて目頭が熱くなってしまった.
あ,無許可医師と神父の話も好き.マグロの話も缶切の話もいいよなあ...
って,この調子だと,ほとんどの話が好きだということになってしまうなあ.まあ,実際そうなんだけど.

ちなみに,この原作者は『勇午』というネゴシエーター(交渉の専門家)を主人公にした話も書いているのだが,世間的にはこちらの方が有名だろう.こちらも面白いことは面白いのだが,話のスケールが大きすぎて,個人的には『オフィス北極星』の方が好きかな.

で,なぜ世間的には『勇午』の方が評価されているのかというと,やっぱり絵柄の違いが大きいのではないだろうか.『オフィス北極星』は,かなりクセのある絵&構図&間の取り方だから,普通のマンガっぽい『勇午』に比べると一般受けしなかったのだと思う.
面白いし,もっと評価されていい作品だと思うんだけどなあ.