2005年02月04日

『王国の鍵 全6巻』紫堂恭子

[ Book]

ファンタジー物三連投.今回は漫画.
隣国との戦争の最中,父王と兄が同時に戦死.内乱を防ぐため,世界を支配する力を持つといわれる秘宝「王国の鍵」を探し出した者が王位を継承することが決定される.
他の候補者と同様,第二王子である主人公も兄の戦友と共に「王国の鍵」を探す旅に出るが,その前に伝説の存在である「竜人」と「竜使い」が現れ...

「竜」「宝探し」「王位継承争い」そして「王子さま」とファンタジー物でメジャーな,つまりはベタな材料が揃っているわけだが,ストーリーも「主人公が艱難辛苦を乗り越えて成長する」というある意味では非常にオーソドックスなものだと言える.
じゃあ,陳腐で面白くない話なのかというと,そのあたりはデビュー作からファンタジー物を描き続けてきた紫堂恭子,ベタな材料&展開を非常にうまく仕上げている.特に最終巻の盛り上がりは見事だった.

『グラン・ローヴァ物語』を知って以来,10年以上も紫堂恭子作品を読み続けてきた.
絵柄もストーリーもいいのだが,私は作品中に出てくる「大人」が特に好きなのだ.デビュー作である『辺境警備』の「隊長さん」は私の理想像その2だし,本作では何といっても主人公を見守るバドリアスが「大人」で,こんな台詞を喋ったりする.

「振り返らずにまっすぐ行け どんなに辛い時でも軽口をたたいて乗り切るんだ 笑うタネがつきたら自分を笑え」

ああ,こういう余裕のある「大人」になりたいもんだなあ.