2005年02月07日

『クビキリサイクル』西尾維新

[ Book]

離れ小島にメイドたちと住む財閥令嬢の趣味は各分野の天才女性を招待すること.5人の天才を招待したある日,自分たち以外に人がいない「密室」の島で,招待客の一人が首無し死体となって発見される.
天才技術者の付き添いとして島にやってきた「ぼく」は次なる殺人を防ぐため,容疑者を「密室」に隔離することを提案するが,その「密室」の中でまたもや首無し死体が発見される...

私はメフィスト系(と一括りにできると思っていたのだが,検索してみると「ファウスト系」という区別もあるらしい)は苦手というか,ミステリーはミステリー,ライトノベルはライトノベルで区別して読みたかったので,最初から敬遠していたのだが,貸出枠が1冊残っていたときに松山市立中央図書館で見かけたので借りてみた.

西尾維新については,この作品と同シリーズの作品がウェブ上で連載されていたものを読んだことがあり,そのときの評価が「これってミステリーじゃなくて完全なライトノベルやん」だったので,そのつもりで読んでみた.

しかし,これが結構ちゃんとした「ミステリー」なのだ.もちろんライトノベルチックな概念続出だし,文体もライトノベルっぽいのだが,ミステリーの要素もちゃんとしていた.
以前ウェブ上で読んだものとは大違いであり,これなら「ライトノベル+ミステリー」として成立していると思える.
森博嗣のSMシリーズやVシリーズが好きで,上遠野浩平の作品も好きならば,かなりの確率でヒットするのではないだろうか.

ところで,サブタイトルにもなっている「戯言遣い」って,結局どういうことなんだ? 主人公のことらしいのだが,色々秘密を持っていそうだし,このままシリーズを読み進めていけば分かるのかな?

いくつか気に入った箇所の引用を.

「やりたいことだとかやりたくないことだとか……、自分の無能を棚に上げてる奴って、わたし大っ嫌い。図々しく生きてるんじゃないよって思う。そりゃ死ねとは言わないけど、もっと申し訳なさそうに生きて欲しいわね。ぎゃあぎゃあわめいていないで何でもやればいいのに。わたしだったらどんな平凡な男だって虫のはらわただって、芸術に仕上げて見せるわ」伊吹かなみ
「きみは玖渚ちゃんに好かれたいんじゃない。そんなことは望んじゃない。きみは玖渚ちゃんに選ばれたいんだ。たった一人の存在としてね」園山赤音
「そんじゃ、そういうわけでお邪魔様。世界はお前らみたいなのがいるから生きてるだけの価値がある。そう思うよ。だけどお兄ちゃん、お前は少しばかりサボり過ぎだ。人間っつうのはっもっとスゲエ生き物なんだからよ、ちゃんとしろ、ちゃんと」哀川潤


おまけ
「萌え」属性がある人は「玖渚友」に萌えるということでいいのでしょうか?>詳しい人