2005年03月16日

『反社会学講座』パオロ・マッツアリーノ

[ Book]

最近はウェブで公開されたページがまとめられて書籍化されることが非常に多くなっているが,この本もその一つ.
カバーの袖にはこう書かれてある.

反社会学の目的は二つです。
第一に、社会学という学問が暴走している現状を批判すること。
第二に、不当な常識・一方的な道徳・不条理な世間体から人間の尊厳を守ること。

これだけを見ると,非常に真面目な本のように思うかもしれないが,表紙や著者のプロフィールを見れば,全然そうでないということが分かるだろう.

内外のさまざまな統計資料などを使って,一般的に常識と言われていること(少年による凶悪犯罪の増加やパラサイトシングルが社会に及ぼす悪影響など)は実は嘘だということをユーモアと毒舌混じりで明らかにしている本で,かなり面白い.

この本の冒頭で社会学者が血祭りに上げられているのだが,社会学者の名誉のために言っておくと,「真っ当な」社会学者であればちゃんとした方法論に基づいて実地調査や資料批判などを行うので,冒頭に出てきたようないい加減なことはしないはず.
まあ,「真っ当でない」社会学者はどうなのかしらないが...


おまけ.
読んでいて危うく爆笑してしまいそうになった箇所を引用しておこう.

社会学者と心理学者がタッグを組めば、統計調査と深層心理を駆使して、どんな理論も思いのままに正当化できます。
ヒーローものの特撮やアニメでは、悪役として登場する博士はマッドサイエンティストと相場が決まってます。だから悪の組織はいつまでたってもヒーローに勝てないのです。世界征服をたくらむなら、むしろ、"死神社会学者"や"地獄心理学者"といった文系の悪役をヘッドハンティングすべきです。

ヘッドハンティングの際は"暗黒経営学者"も是非加えて頂きたいものだ.
あんまり役に立たないかもしれないが.