2005年08月22日

『重力ピエロ』伊坂幸太郎

[ Book]

遺伝子の調査などを行う会社に勤める「私」と,落書きを消す仕事をしている弟の「春」が暮らす街で連続放火事件が起きる.
放火と落書きに関係があると主張する弟に巻き込まれて,「私」,さらには入院中の父親までが連続放火事件の調査に乗り出すが...

伊坂幸太郎作品を読むのはこれで5作目か.松山市立三津浜図書館で借りてきた.

作品の発表時期的には『陽気なギャングが地球を回す』と『チルドレン』の間になるようだが,内容的にもそんな感じで,『ラッシュライフ』や『オーデュポンの祈り』で感じたようなゴテゴテ感がなく,サラサラと読めた.
家族物&回想が多いということで,舞城王太郎の『煙か土か食い物』を思い出したのだが,話のムードは全然違っており,個人的には圧倒的に本作の方が好み.

ミステリーとしては,かなり初めのうちにタネが分かってしまう人も多いと思うのだが,もともとそういう推理を楽しみたい人が読む作品ではないだろうから,これはこれでいいのだろう.