2005年11月25日

『冷蔵庫との対話』アクセル・ハッケ

[ Book]

機械が苦手で悲観主義的な中年男性の,勝ち気な妻のパオラ,かわいい息子のルイス,そして廃棄されることに怯えながらも電子レンジを憎悪する昔なじみの冷蔵庫のボッシュとの生活を描いたエッセイ集.

ネットの書評などで興味を惹かれたものについては書名をメモっているのだが,この本もその一つ.しかし,メモっているのが書名だけなので,どうして興味を惹かれたのがよく分からない.

いつものごとく松山市立中央図書館所蔵なのだが,検索でヒットしたときは「こんな本まであるとは,侮り難し松山市立中央図書館!」と思ったのだが,著者はドイツで有名な作家(『ちいさなちいさな王様』というのが有名らしい)のようで,私が知らないだけで実は所蔵されていて当然だったのかもしれない.
児童書以外にもコラムも書いているようで,本書は新聞に連載されたコラムを集めたものとのこと.

内容は,思わずクスクス笑ってしまうような中年男のボヤキといえばいいだろうか.
訳者はあとがきで山口瞳の『男性自身』シリーズや東海林さだおのエッセイが近いと書いているが,私はこれらを読んだことがないので本当に似ているのかどうかは分からない.
しかし,読んでいて思わず思い出したものがある.穂村弘のエッセイだ.そのボヤキっぷりや妄想ぎみなところもソックリ.
穂村弘のエッセイを好きな人はこちらも気に入るのではないだろうか.

ということで楽しく読み終えたのだが,結局どうして興味を惹かれたのかは不明なままだった.
たぶん,冷蔵庫を会話相手にする現代人の孤独がどうのこうのという感じじゃないかと思うんだが,全然そんなシリアスな本じゃなかったしなあ.