2005年12月14日

『検索エンジン戦争』ジェフ・ルート&佐々木俊尚

[ Book]

本書は検索エンジンの発展の歴史を広告収入型ビジネスモデルという切り口で描いた本.松山市立中央図書館所蔵.

前半は検索エンジン上で表示されている広告の仕組みや価格決定メカニズム,さらには少しでも検索結果の上位に表示させるためのSEO(検索エンジン最適化)テクニックについて書かれている.
後半は検索エンジン業界の移り変わりをgoogleの登場を軸に描いており,今後の検索エンジン各社の戦場となるだろうデスクトップ検索や商品検索についても触れられている.

登場当初は一部の専門家しか利用していたなかったインターネットが,ほとんど生活必需品の域にまで達した原動力は,検索エンジンの発達だと私は思っている.
爆発的に増加するネット上の情報を捕捉・記録する検索エンジンを運営するためには多大なマシンパワーと記憶容量が必要になるわけだが,ほとんど全ての検索エンジンはタダで利用できる.その背景にあるのが広告収入型のビジネスモデルだ.

個人的には広告収入型ビジネスモデルは大嫌いなのだが,検索するたびに課金されるような検索エンジンは絶対に使いたくないので,検索エンジンと広告収入型ビジネスモデルは切っても切れない関係になってしまっていると諦めるしかない.

しかし,検索エンジンと広告の関係を認めるのと,検索エンジン上で表示される広告をクリックするのとは全く別の話.
できるだけ検索エンジンに騙されないように,検索エンジンと広告の関係やその仕組みを知っておくことは必要だと思うので,その点では面白い本だった.

また,逆に検索エンジンを騙そうとするSEOのテクニックについても,それなりに詳しく書いてあるので,自分のサイトのアクセス数を増やしたい人にも役立つかもしれない.
でも,SEOについては専門の本を読んだ方が参考になるかな.

検索エンジン業界における合従連衡や競争関係の分析の資料にもなりそうなので,研究費で買っておいてもいいかもしれない.