2005年12月24日

『水滸伝 輪舞の章』北方謙三

[ Book]

北方謙三による『水滸伝』の第三巻.松山市立中央図書館所蔵.

本巻では元軍人の楊志が山賊になる顛末と,宋江が役人から罪人となるエピソードなどが描かれている.

前巻から本格的に登場していた「青蓮寺」だが,本巻でもかなりのページを割いて描かれている.
主人公側が梁山泊なので,それに敵対している青蓮寺は悪役ということになるのだろうが,これが単純に悪とも決め付けられない存在で,国のために私利私欲を捨てた官僚集団という感じ.

あと,本巻ではついに宋江が役人の顔を捨て,罪人として逃避行を始めることになるのだが,そのきっかけになるのが弟の宋清.
オリジナルではほとんど活躍していない割に,宋江の弟というだけで地位が高かったりする宋清だが,本巻ではけっこう個性的な人物(単に真面目なだけ?)として描かれており,立派なエピソードまでつけてもらっている.
この調子だと,本当に108人全員にちゃんとしたエピソードが準備されているというのは本当のようだ.全19巻なので,単純計算でいくと1巻当たり5-6人分か.