2006年01月06日

『氷菓』米澤穂信

[ Book]

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に、だ」をモットーとする省エネ高校生「折木奉太郎」は,姉のアドバイス(命令?)で古典部に入ることに.
部員がいないために廃部の危機にあった古典部,その誰もいないはずの部室には同じ一年生の新入部員「千反田える」がいた...

この作者の本は『さよなら妖精』『春季限定いちごタルト事件』に続いて三冊目.
これまでの本と同様,高校生が主人公で「日常の謎」系のミステリ.松山市立中央図書館所蔵.

高校生活で遭遇した日常の謎を解決しつつ,最終的にはタイトルにもなっている「氷菓」という古典部作成の文集にまつわる謎を解く話なのだが,前半というかキャラクター設定は『春季限定いちごタルト事件』っぽく,後半のメインの謎に関するテイストは『さよなら妖精』っぽい.
この作品はこの作者のデビュー作なのだが,こういうのを読むと「デビュー作にはその作家の全ての要素が詰められている」というのは当たっているような気もする.

この作者の本を読もうと思ったのは『クドリャフカの順番』という本が面白いという評判を聞きつけたからで,『クドリャフカの順番』はこの『氷菓』,そしてその続編の『愚者のエンドロール』に続くシリーズ第三弾.
となると順番に読んでいかなければならないだろうということで,まずは『氷菓』と『愚者のエンドロール』をネットで予約した.

すると,『愚者のエンドロール』は問題なく手元に届いたのだが,この『氷菓』は全然届かなかった.
それどころか,検索システムから本のデータが消滅してしまい,予約確認画面には「入手検討中」との表示が.察するに,本が紛失してしまったのだろう.

このままではいつまでたっても読めそうにないので,別ルートで入手しなくてはならないかなあと思っていたところ,「予約資料の準備ができました」とのメールがいきなり届いた.
新しく買ってきたのかと思ったのだが,貸し出された本はそれなりに年季が入っていたので,どうやら紛失していた本が発見されたようだ.
ともかく,これで次の『愚者のエンドロール』を読めるぞ.前回は借りたけどそのまま返却してしまったからなあ.三津浜図書館にしか所蔵されてないので,もう一度予約しなければならないのが面倒くさいけど.

最後に気に入った箇所の引用を.

全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく。

いつの日か、現在の私たちも、未来の誰かの古典になるのだろう。
郡山養子