2006年01月23日

『愚者のエンドロール』米澤穂信

[ Book]

2年生のクラスが文化祭で上映するミステリー映画を見せられた古典部の面々.
しかし,その映画は被害者が密室で腕を切り落とされて死ぬ場面で終わっていた.
実はその映画,脚本家が途中で病に倒れてしまったため,結末が不明なままだったのだ.
映画を完結させるため,脚本家が考えていた結末を探すことになった古典部の面々は,映画制作に携わったクラスのメンバーから各自の考える結末を聞くことにするが...

以前記事にした『氷菓』の続編.時期的には『氷菓』での謎解きと,その経緯を文集としてまとめるまでの間になるのかな.前作と違い,三津浜図書館所蔵.

あとがきによると,この作品はバークリーの『毒入りチョコレート殺人事件』へのオマージュとして書かれたものらしい.
そちらの作品のことは知らなかったので調べてみたところ,Wikipediaに該当項目があった.どうやら,バークリーの『毒入りチョコレート事件』というのは一つの事件に対して複数の探偵役がそれぞれの推理を提出するという形式の代表作らしい.確かに本作もそういう形式だった.

個人的には,前作よりも面白くなかった,というのが正直なところ.もしかすると『毒入りチョコレート事件』を読んでいると,もっと面白かったのかもしれないが.

しかし,トリックというか謎というか,そちらについてはかなりの「ちゃぶ台返し」っぷりを発揮しているので,「やられた!」的なものを期待してミステリーを読む人にはいいかも.
コナン・ドイルのホームズ作品が大きな役割を果たしていることもあるし,ミステリーを読みなれている人ほど楽しめる作品になっているような気がする.