2006年01月27日

リスクとリターン

[ Experience]

このところ,風邪の影響で更新パターンが少々おかしくなっていたのだが(毎日更新だけは死守した),咳がときどき止まらなくなる以外,体調は通常モードにほぼ復帰.
ということで更新パターンを通常に戻すことも兼ねて,先ほどまで考えていたことを少々.

うちの大学はそろそろ試験シーズンに突入しそうな時期だが,私の出稼ぎ先であるお隣の大学は試験もほぼ終了した頃合.
私が受け持っている講義も先週に試験を終え,現在採点の真っ最中で,さっきまでレポートの採点を行っていたのだが...

パクリ多すぎ.

私が受け持っている講義が1回生相手でレポートの書き方をちゃんと知らないということもあるのかもしれないが,ネットを丸写ししただけのレポート多数.
レポートを出すときに「ネット丸写しは判明したら即オチ」と宣言してあるのだが,見つからないとでも思ったのだろうか?

私が合格点以下の点数をつけるときは,その評価が客観的に納得できる理由をちゃんと見つけた上でつけるのだが,合格点未満のレポート(後期分)をカウントしてみたところ,全体の15%もあった.このほとんどはパクリが理由だ.

この15%という数字,多いと思うか少ないと思うかは人ぞれぞれだろう.
しかし,部分的なパクリや複数からパクってきたもののリミックスなど,「正当な引用の範囲を超えた」実質的パクリ率はこんなものではない.低めに見積もっても7割は超えているだろう.私が見逃しているものを加えるともっと多くなるだろう.
つまり,この15%という数字は,
慈悲の心の大クリアランスセール,しかも最終日の閉店間際
レベルで評価しての数字なのだ.

まあ,学生さんにもそれぞれ事情はあるんだろうし,このレポートを書くためのリソースを別のことに回すかどうかは各人の自由意思なわけなので,パクリがどうこういうつもりはない.
でも,この授業,1回生の必修,しかも1年ものだぞ? つまり,落としても絶対に取らないと卒業できないんだぞ? そんな授業で危ない橋を渡るのか?

パクリに限らず,世の中には「偽り」が発覚するリスクと,それが発覚したときのリターン(ほとんどの場合マイナス),そして発覚しなかったときのリターン(多くの場合プラス)がある.

私も聖人君子では決してないので,時として「偽り」が必要なこともわかっている.

しかし,偽りが発覚するのは一瞬で,それを偽り続けるためには不断の努力が必要になる.

そして,偽りが発覚したときのリターンは,それまでに得ていた発覚しなかったときのリターンを食いつぶして余りあるほど大きいことがほとんどだ.

しかも,ひとたび偽りが発覚すると,その後の偽りの発覚リスクは増大するだろうし,逆に本当のことを言っていても信用されなくなるリスクも高くなる.

こういうことを考えると,本当に「偽り」が合理的な場面というのはかなり少ないと思うのだが...