2006年02月04日

こけし(とんかつ丼)

[ Spot]

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忘れた頃にやってくる大阪出張ネタ.
日本橋に行った際,せっかくだから日本橋で食事を済ませることにした.
私が初めて日本橋に行ったのは,PC-6001というパソコンが出たころだから,1982年か1983年.当時の日本橋,正確にはでんでんタウンには食事をする場所が非常に少なかったのだが,昔から営業している店の一つが,この「こけし」.メインストリートから東に一本入った通りにある.

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店内は,このようなカウンター席と,この反対側にテーブル席があって,それなりに広い.調べたところ,32席あるそうだ.

看板に大きく書いてあるとおり,カツ丼とカツカレーしかメニューがない.しかし,その注文の仕方によって,かなりのバリエーションが存在している.
少々見にくいが,カツ丼のメニューはこんな感じになっている.

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カツ丼というのは大きく分けると,カツと玉子,そしてご飯という三つのパーツから構成されているわけだが,この店はこの三つのパーツの量を,通常とダブル(ご飯の場合はスーパー)の二段階で指定できる.
この時点で2の3乗の8種類のバリエーションがあるのだが,さらに「丼」と「セパレーツ」という選択肢がある.「丼」だと通常のカツ丼になるだけだが,「セパレーツ」だとごカツ&玉子とご飯が別々に出てくる.つまり,カツ丼だけで2の4乗の16種類のバリエーションがあるのだ.

こういう店では,そこでしか食べられないものを注文するべきだろうということで,今回は「セパレーツスーパー」を注文した.

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これがセパレーツスーパー.まあ,カツとじ定食だな.写真では分かりにくいが,ご飯は結構な量がある.
これまた写真では分かりにくいだろうが,カツも薄い.いわゆる「東京人の人情のように薄い」というやつだ.店で食べるカツ丼というと,それなりに厚みのあるトンカツがのっているのを想像してしまいがちだが,そういうイメージを打ち破るほどの薄さだ.
で,肝心の味のほうだが,マズイわけでは決してないんだが,飛び抜けて美味しいというわけでもない.非常にシンプルというかなんというか,はっきり言って「家庭的な味」だ.

これで820円.うーん,コストパフォーマンスが悪いとまではいかないけど,いいとはちょっと言いがたいなあ.
しかし,それでもこの店,非常に人気があるのだ.このときも13時半くらいに行ったときは店の前に行列ができており,その後,14時くらいに出直したときもほぼ満席.
しかも面白いことに,客層が非常に幅広いのだ.電器街なので,その筋っぽい若い男性がいるのは納得できるのだが,お洒落なカップルがいたり,親子連れがいたり,なぜかオバチャン連中までいた.
昔のように,飲食店が限られているのなら納得できるのだが,現在の日本橋はあちこちに飲食店が存在しているので,食べる場所には苦労しない.
なのに,この店が幅広い客層を今も誇っているということは,この店には老若男女をひきつける何らかの魅力があるのだろう.こういうのが「老舗」というものなのかもしれないなあ.