2006年10月05日

『職業外伝』秋山真志

[ Book]

「滅びゆく職業や日本の伝統職に就いている人々を、仕事を切り口に書いてゆく人物ルポ」(著者紹介より).
具体的には,飴細工師や幇間(たいこもち),へび屋,見世物師などの12の職業とその職業についている人々の生涯について書かれている.

いつものごとく,ネットの書評で気になってチェックしていたもの.松山市立中央図書館所蔵.

紹介されている職業がどれも絶滅寸前ということは共通だが,それに就いている人々がその職業を選んだ経緯は,家業だから仕方なくというのもあれば,生活のためにというのもあり,はたまた悩んでいるときに「これだ!」と巡りあったものもあって,さまざま.

TVや新聞などの各種メディアにとりあげられて,それなりに評判になったらしいのだが,どういう取り上げられ方をしたのかは全く不明.
若者の就職のミスマッチなどと絡めて紹介されたのかもしれないが,これって参考になるのかなあ.
下手すると,「自分探し」だとか「自分のしたい仕事を見つけよう」などの煽りに使われてたのかもしれないけど,そういう幸せな形で仕事に就ける人というのは,ごく少数だと私は思っている.
なので,そういう幸せな少数派になるのを目指すことも大事だろうけど,就いた仕事の中でヤリガイとか喜びを見つける努力をする方が現実的だと思うんだけどなあ.

そういう話はともかく,テキ屋とか落語界の専門用語が日常使っている言葉の語源である等の「あなたの知らない世界(職業)」を知ることができるし,それぞれの人の人生自体が波乱万丈なので,読み物として充分に面白かった.