2006年10月07日

『雨のち晴れ、ところにより虹』吉野万理子

[ Book]

湘南を舞台にした短編集...としか書きようがないなあ.松山市立中央図書館所蔵

ネットで高く評価されていたので借りてみた.
6本の短編が収められているのだが,舞台が湘南であり,どの話にも共通の登場人物がいる(1本については微妙)のだが,

「味覚の違いに悩む夫婦」
「受験を控えた母子のすれ違い」
「厄年を迎えたキャリアウーマン」
「ホスピスの患者と看護婦」
「海辺での老人と少年の会話」
「親友の結婚式に出席する女性」

と話は結構バラバラ.
だけど,全体的に同じような雰囲気でもあるという短編集.

どの作品も,淡々としているんだけどイイ話の集合体,という感じ.
個人的には表題作の「雨のち晴れ、ところにより虹」と「幸せの青いハンカチ」が良かった.
ああ,「ガッツ厄年」も面白かったな.
いや,「なぎさ通りで待ち合わせ」もなかなかだったし,「ブルーホール」も教科書に載っていそうな感じで...
ということで,強烈なインパクトがあるわけじゃないんだけど,どれも平均点以上の作品だったんじゃないだろうか.

舞台である湘南の地名や場所が分かっていると,読んでいてイメージが湧いて,もっと評価は高くなるのだろうけど,湘南は行ったことがないし,これからも行くかどうか微妙だからなあ.
でも,「なぎさ通りで待ち合わせ」を読んで,逗子のスターバックスには一度行ってみたくなってしまった.

で,この本の話になると,どうしても共通の登場人物である「常盤さん」のことに触れなければならない.
3本目の短編で,やけにキャラ立ちしている脇役がいるなあと思ったら,それが「常盤さん」で,4本目の短編である表題作ではその「常盤さん」がほぼ主役.
この時点で,そういえば1本目と2本目にも同じような人が登場していたことに気がつき,思わずページを戻して探してしまった.
同じように6本目にも重要な役どころとして登場するのだが,5本目にだけは出てこない.この話にだけ出てこないというのは構成的におかしいので,直接・間接的に出てくる女性が「常盤さん」である可能性を考えてみたのだが,どうも違う.

ということで,検索をかけてみると...
なるほど,そういうつながりだったのか.